研究課題/領域番号 |
17K04299
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研究機関 | 東大阪大学短期大学部 |
研究代表者 |
西木 貴美子 東大阪大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (80634302)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 非行 / 少年院 / 表情認知 |
研究実績の概要 |
研究Ⅰ 少年院在院者の表情認知特性に関する研究:研究Ⅰでは,少年院在院者の表情認知特性を検討することを目的とし,少年院在院者を対象に表情認知課題を実施し,非行歴や発達障害等の診断のない大学生の結果との比較検討を行うとともに,非行類型等による比較も行った。対象者は,少年院在院者男子66名を少年院群とした。対照群として四年制大学または短期大学の在籍者男子60名を大学生群とした。その結果,少年院群は大学生群よりも相対的に正答率が低く,特に悲しみ,恐怖,嫌悪の表情認知の困難さが示唆された。加えて誤選択率の分析から,少年院群は悲しみ表情は怒りや嫌悪に,恐怖表情は怒り,嫌悪,驚きに,嫌悪表情は悲しみ,怒りに,それぞれ誤って判断しやすいことが示唆された。 研究Ⅱ 少年院在院者を対象とした表情認知訓練による表情理解促進に関する研究:表情認知訓練は表情から正しい感情を察知する能力を向上させる可能性があり,反社会的行動の減少に貢献できることが期待されることから,研究Ⅱでは,少年院在院者を対象に,大学生を対象とした調査で高い効果量判定を得た表情認知訓練を実施し,その効果について検討を行った。対象者は少年院在院者11名である。表情認知訓練は個別に実施し,訓練には6表情(喜び,悲しみ,怒り,嫌悪,恐怖,驚き)の男女各1枚,計12枚の写真を用いた。表情認知訓練前後の表情認知課題の成績について効果量判定を行った。結果,課題全体,男性写真課題,女性写真課題すべてにおいて高い効果量が示された。訓練前には男性写真,女性写真ともに悲しみ,恐怖,嫌悪の3表情の認知が困難であったが,訓練後に3表情すべてで表情認知課題の成績が上昇した。 研究Ⅲ 少年院在院者を対象とした動画による表情認知訓練に関する研究:昨年度に撮影を行った基本6表情の動画を使用し,コンピュータ上で使用できる表情認知訓練システムを作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
少年院入所者が減少し,調査対象者を集めることに予定より多くの時間がかかってしまったため。 表情認知訓練対象者の決定に予定より多くの時間がかかってしまったため。
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今後の研究の推進方策 |
動画による表情認知訓練プログラムの完成を目指す。また、可能な限り,訓練プログラム実施1か月後,3か月後に表情認知検査を実施し,訓練効果の検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由 当初は動画による表情認知訓練プログラム制作を専門業者との協力で行う予定であったが,都合上延期になり残額が生じた。また,研究協力機関の都合のため,訪問回数が大幅に減少したため残額が生じた。
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