本研究では,少年院在院者の表情認知に関する問題が調査によって客観的に示されたとともに,男性写真と女性写真を用いることで表情表出者の性別による表情認知の違いについて確認することができた。少年院在院者の対人関係の問題の要因の一つに,他者の表情を誤って読み取ってしまうというプロセスがある可能性が示唆された。また,表情認知課題の正答率が低い表情について表情認知トレーニングを行うことで,表情認知課題の正答率が向上し,1か月後もそれが維持できていることが確認できた。表情認知トレーニングは少年院在院者の適切な表情認知に寄与し,彼らの表情理解促進に適用できる可能性が示唆された。
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