研究課題/領域番号 |
17K04353
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
鳥居 深雪 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (90449976)
|
研究分担者 |
近藤 武夫 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (00379869)
式部 陽子 奈良教育大学, 特別支援教育研究センター, 特任准教授 (20737431)
梅田 真理 宮城学院女子大学, 教育学部, 教授 (50529138)
小川 修史 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (90508459)
西尾 祐美子 北陸学院大学, 人間総合学部(社会学科), 講師(移行) (50801594)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | スティグマ / 発達障害 / 高等学校 / 障害理解教育 / オンラインプログラム |
研究実績の概要 |
生徒向け障害理解プログラムを作成し、SurveyMonkeyを用いて、オンラインで実施した。発達障害に対する高校生のスティグマの実態を把握し、プログラムの効果を評価するために、プログラム実施前後にオンライン調査を行った。高校生にオンライン調査を実施するに際し、高校生であること、オンラインでの実施では質問ができないことなどを考慮し、回答の選択肢に「わからない」を加え、欠損値として扱った。2018年6月時点で得られたデータは2高等学校、生徒266名分であった。中間で解析したところ、学習前の知識得点は、M = 2.00, SD= .53、学習後の知識得点は,M = 1.84, SD= .60であり p < .01で,有意に改善が見られた。学習前の知識と社会的距離(r = .526),学習後の知識と社会的距離(r = .575)に,それぞれやや強い相関が認められた。その後、さらに調査実施高校を増やし、2019年度末までに7高等学校、教員193名、生徒476名に障害理解プログラムと調査を実施した。欠損値が多かった9項目は、高校生には判断が難しかったものとして解析から除外した。また、「わからない」が多かった回答者も除外しN=165を解析対象とした。因子分析を行ったところ、「対人的距離」「交友知識」「関心・行動」「症状知識」の4因子が抽出され、「対人的距離」因子はα=.79であった。現在、論文執筆に向けて、データの解析を継続中である。 他方、生徒向け障害理解プログラムの英語版、教師用研修プログラムも作成済みである。 また、プログラム公表のためのWebはすでに開設し、運用している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査協力者数は、当初の予定より少ないが、当初予定していなかった教師データの収集が行えた。これは、高等学校が「スティグマ」というテーマに対し慎重であったため、生徒に実施する前に教員研修として取り組んだためである。Nは予定よりも少ないものの、生徒と教師両方のデータが得られたことで、教師の姿勢と生徒の姿勢との関連を検討することが可能になった。研究としては、むしろデータの価値が増したと考える。 生徒向け障害理解プログラムの英語版、教師用研修プログラムは作成済みであり、今後効果を評価するための調査を行うよていである。当初の予定通りである。また、プログラム公表のためのWebはすでに開設し運用しており、当初の予定通りである。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでのデータについて解析し、論文を作成する。生徒用障害理解プログラムのブラッシュアップと、中国語版作成、教師用研修プログラムの実施と調査結果の解析は、今年度取り組む予定である。 これまでの成果について、9月の教育心理学会、11月の日本LD学会で発表予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
基金化しており、最終年度に予想される支出に備えて繰り越したものである。
|