| 研究課題/領域番号 |
17K04379
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| 研究機関 | 中部大学 |
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研究代表者 |
三島 浩路 中部大学, 現代教育学部, 教授 (90454371)
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| 研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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| キーワード | 将来展望 / いじめ / 排斥 / 抑鬱 |
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| 研究実績の概要 |
「いじめ」「ネットいじめ」による仲間からの排斥が、抑鬱などの情緒的要因を介さずに、将来展望に直接ネガティブな影響を及ぼす可能性があることを前年度の研究で確認した。そこで、本年度は、近年、増加傾向にあるSNS上におけるいじめを、より詳細に測定する尺度の開発を行った。また、高校生の抑鬱を測定することに適した尺度の選択、さらには、高校生の将来展望に関する尺度の開発を行った。このうち、高校生の将来展望に関する尺度開発に関しては、国内外の先行研究を概観し、将来展望の因子構造を想定したあと、調査協力高校の教師の助力を経て日本の高校生に適した表現による将来展望尺度素案を作成した。この素案をもとにした質問紙調査を高校生約1,400人を対象に実施し、因子構造の確認や、学校適応状況等との関連性を検証した。この尺度では、高校生の将来展望を「将来像・目標の明確さ」「向社会的努力志向」「肯定的・積極的将来像」という３因子構造とし、学習適応や友人適応等との関連性を共分散構造分析により検証した。その結果、将来展望の強度と学校適応との間に正の関連性がみられるなど、将来展望尺度の妥当性を示唆するものであった。また、この尺度で測定可能な将来展望と被測定者の個人特性やライフイベント状況との関連性を検証するために、大学生約150人を対象に調査を実施し、個人特性の一つである公的自己意識やライフイベント状況との関連性を検討した。その結果、人間関係が良好であるなどライフイベント状況が将来展望に影響を及ぼすことや、公的自己意識の高い者ほど、ライフイベントの影響を受けやすいことなどを示唆する結果が得られた。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度当初に計画した将来展望尺度の開発や、SNS上におけるいじめ被害をより詳細にとらえるための尺度開発、高校生の抑鬱傾向測定に適した尺度選択を完了し、これらの尺度を利用した調査活動はすでに開始している。平成31年度はこれらの尺度を利用した調査の結果を、教育心理学会等で報告したり、将来展望に関する尺度開発に関連した研究成果をまとめ投稿論文を執筆したりする予定である。また、DN-CASを利用したいじめと認知機能との関連性に関する事例研究的な調査も、平成31年度に高校で実施することが可能な状況となった。以上のことから、本研究はおおむね順調に進展していると評価した。
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| 今後の研究の推進方策 |
平成30年度に開発した尺度等を活用して、平成31年度は、いじめ等による排斥が将来展望に及ぼす影響に関するより詳細な調査・分析を実施する。その準備として、平成30年４月に調査協力高校２校に入学した新１年生全生徒を対象に、中学生当時のいじめ・ネットいじめ被害程度の測定を入学前に行い、入学後約２ヶ月が経過した時期に抑鬱傾向等の調査を実施し、さらに、入学後約８ヶ月が経過した時期に将来展望に関する調査を実施した。短い期間ではあるが縦断的手法により実施したこれらの調査結果を利用して、本研究の最大テーマである、いじめ被害が将来展望に直接影響を及ぼすのかどうかについて検証する。具体的には上記３時点で収集したデータの関連性を分析するなどして発表論文を作成し、日本教育心理学会・日本応用心理学会で報告する。また、平成30年度に学会報告した高校生の将来展望に関する尺度開発関連研究の内容に文献研究成果を追加するなどして投稿論文にまとめ上げ、年内に教育心理系の学会へ投稿する。さらに、DN-CASを利用した認知的側面に関する検査をいじめ被害を受けた生徒に、本人の同意を得た上で実施し、いじめ被害と将来展望との関連性を認知的な側面から裏付ける資料収集も計画している。こうした調査・分析活動と平行して、いじめ被害により将来展望にダメージを受けた生徒に対する支援の具体的な方法について、高校の教育相談担当教員や進路指導担当教員、さらにはスクールカウンセラーを対象とした聞き取り調査を行ったり、関連領域の文献を探索したりするなどして資料収集を行う。
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