研究課題/領域番号 |
17K04423
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
黒木 俊秀 九州大学, 大学院人間環境学研究院, 教授 (60215093)
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研究分担者 |
本村 啓介 独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター(臨床研究部), 臨床研究部, 常勤医師 (60432944)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | DSM-5 / パーソナリティ障害 / ディメンジョン的モデル / PID-5 / 5因子モデル / 妥当性 / 臨床的有用性 |
研究実績の概要 |
本研究は、ディメンジョン的評価を含むパーソナリティ障害のDSM-5代替モデルの妥当性と有用性を実証的に検証し、精神疾患診断のディメンジョン的モデルの臨床的有用性と限界を明らかにすることを目的としている。 初年度は、DSM-5パーソナリティ調査票(PID-5)日本語版を開発し、その信頼性及び妥当性の検証を行った。DSM-5パーソナリティ調査票(Personality Inventory for DSM-5: PID-5)は、代替DSM-5モデルの病的パーソナリティ特性(5つのドメインと25のファセットにより構成)を評価するもので、成人版は4件法、220項目より構成され(25項目の簡易版もある)、アメリカ精神医学会より無償で提供されている(APA, 2013)。PID-5の日本語翻訳を行い、そのバック・トランスレーションを完了し、現在、原著者の照会している段階である。 次に予備的な検討として、100名の医療・福祉領域の従事者を対象にNEO-PI-R日本語版を用いてパーソナリティ特性(5因子モデル)の経時的・縦断的評価を行い、バーンアウトや健康状態の評価に与える影響から、その予測妥当性が安定していることが示唆された。また、パーソナリティ特性による自己像の記述結果を被験者にフィードバックし、その有用性について評価を求めたところ、概ねポシティブな回答を得た。 さらに、2018年内に公表される予定のICD-11におけるパーソナリティ障害の診断基準に関する文献をレビューし、DSM-5代替モデルとの異同について検討を行った。 以上の成果については、パーソナリティ障害の心理アセスメントの問題点として論文発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PID-5の日本語翻訳を行い、そのバックトランスレーションを完了し、原著者に照会したところ、若干の修正を求められ、その調整を行うために、予想したよりも時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
2年度の研究計画は、次の通りである。 1) PID-5日本語版の信頼性及び妥当性の検証(アナログ研究):大学生、及び病院職員等を対象にPID-5日本語版、及び’Big Five’を評価するNEO-PI-R日本語版 (Costa & McCrae, 1992)を実施し、信頼性、基準関連妥当性、構成概念妥当性を検討する。 2) PID-5日本語版の信頼性及び妥当性の検証(臨床研究):精神科医療機関外来に通院する患者を対象にPID-5日本語版、NEO-PI-R日本語版、及び抑うつを評価するBDI-II日本語版 (Beck et al., 1996)を実施し、信頼性と妥当性を検討するとともに、精神疾患診断との関連を解析する。 3) 代替DSM-5モデルによるアセスメント:Skodol et al. (Am J Psychiatry 172: 606-613)のガイドラインに基づいて代替DSM-5モデルによる診断手順を定式化し、実際の事例について、代替モデルによる診断を行う。
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