本研究は,カナダの初等・中等学校において消費者教育として行われてきた,商業広告についての学習が持つ内容上の特徴を明らかにするために,各州政府により消費者教育の推進活動が展開された1970~80年代の教員向け資料を分析した。これらに共通した代表的な内容は,広告に含まれる商品情報や説得の表現を分析し,購入を判断する際の情報源としての信頼性を評価する指導の提案であった。このほか,広告規制について理解する学習内容も共通していた。これらの内容には,広告が遍在する消費社会に対する批判的な姿勢を児童生徒に形成する意義が認められた。
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