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2018 年度 実施状況報告書

大学入試における主体性の評価に関する国際比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K04555
研究機関広島大学

研究代表者

永田 純一  広島大学, 入学センター, 准教授 (70330959)

研究分担者 杉原 敏彦  広島大学, 入学センター, 教授 (00379851)
高地 秀明  広島大学, 入学センター, 教授 (70403508) [辞退]
三好 登  広島大学, 入学センター, 特任准教授 (40735164)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード高大接続 / カリキュラム / 主体性
研究実績の概要

平成30年度においては,以下の研究実績が挙げられる。
(1)カリフォルニア州(米国)の州立大学におけるアドミッションズオフィス担当者の現地調査:2つの州立大学のアドミッションズオフィスを訪問し,インタビュー調査を実施した。その結果,調査書については複数人評価方式をとって評価していること、調査書のみに留まらずに、personal insight questionsと呼ばれる短文による自由記述形式の志望理由書により主体性を評価していること、調査書及びpersonal insight questionsはかなり大きな比重を占めて評価されていることが、インタビューの中で明らかにされた。また志願者数が多い関係上、日本の大学のように面接を導入し、主体性を評価するということは行っていないということも確認された。
(2)カリフォルニア州(米国)の高等学校の進路指導教員に対する現地調査:カリフォルニア州南部の有力大学に多数進学実績を有する私立の高校において,教員(校長・進路指導教員)に対するインタビュー調査を実施した。その結果,調査書は担任と進路カウンセラーの協働によって作成されていること、進路カウンセラーは年に数回、調査書の作成に関する研修を受けていること、調査書は大学で信頼性を持って受け取られていることがわかった。また主体性を育成するための教育カリキュラムとして,特別に別枠で設定しているわけではなく、通常の教育カリキュラムの中で身に付くように教育しているようであった。
(3)米国の各大学における大学入学者選抜時の選抜資料の重要度の比較:Common Data Setと呼ばれる各大学のパフォーマンスに関するデータの分析を実施した。その結果nonacademic skillについては,大学ランキングの上位大学ほど,課外活動やボランティア活動を重視し,より多面的な選抜を行っていることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

米国における主体性評価に関して,前年度に明らかになった我が国との相違をさらに明確にするため,今年度はカリフォルニア州において大学と高校の双方を訪問し,インタビュー調査を実施した。大学への訪問調査の結果,各大学の入試方法と選抜資料との関係,さらに,資料の重要度等についても把握することができた。また,高校への訪問調査によって,高校教育における主体性育成の観点,進学時の資料作成のポリシー等について詳細な聞き取り調査を行うことができている。前年度の調査結果と併せて,やはり,大学入試における主体性等の評価を検討するには,高校教育と大学教育のそれぞれにおける主体性育成の観点を検討することが重要であると改めて認識した。
一方,当初の予定であった英国の調査が未完了となっているが,これは次年度の計画に含める予定であり,次年度末までに調査及び分析完了可能である。

今後の研究の推進方策

これまでの我々の調査・分析から,大学入試における主体性等の評価の国際比較を行うためには,やはり,各国の高校教育と大学教育における主体性育成の観点を明らかにすることが重要であることが示されている。加えて,高校と大学を通じて,専門分野をどのように選択するのか,そのカリキュラム構成も極めて重要な要素であることも明らかになっている。
当初は,米国ではほとんどの大学において多面的評価方法(Holistic Admissions)による入学者選抜を行っているのではないか,と想定していたが,調査結果ではそれとは異なる状況がみられている。米国における選抜方法と入学後のカリキュラムとの関係については,さらに文献研究及び担当者へのアンケート(電子メール)により分析を進めたい。
また,米国とは異なり,多くの大学で入学時から専門分野を特定しているイギリス及びヨーロッパにおいて,大学入学者選抜における主体性等の評価がどのようになされているのか,といった点が極めて興味深い。本研究課題の主題をイギリス・ヨーロッパと米国との比較に置いた理由もそこにある。米国における調査と同様に,大学のアドミッション部門だけに限定せず,高校を訪問調査することで,大学教育と高校教育における主体性育成の観点についても分析を深めることが極めて有効であると考える。

次年度使用額が生じた理由

実際の調査地について,計画を変更したため。変更前の調査地を次年度の調査計画に含めて研究を遂行する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 米国における高大接続を見据えたカリキュラム改革 ―ハワイ州を事例に―2019

    • 著者名/発表者名
      永田純一・杉原敏彦・高地秀明
    • 雑誌名

      大学入試研究ジャーナル

      巻: 29 ページ: 141-146

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 米国における高大接続を見据えたカリキュラム改革 ―ハワイ州を事例に―2018

    • 著者名/発表者名
      永田純一・杉原敏彦・高地秀明
    • 学会等名
      全国大学入学者選抜研究連絡協議会研究会

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公開日: 2019-12-27  

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