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2018 年度 実施状況報告書

社会インパクト債(SIB)活用による教育財源調達の新展開

研究課題

研究課題/領域番号 17K04619
研究機関京都光華女子大学

研究代表者

高見 茂  京都光華女子大学, 健康科学部, 教授 (60206878)

研究分担者 伊藤 健  慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), その他 (20626973)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードSIB / 社会貢献債 / RTC / 財政節約効果 / 就学前教育プログラム / 事業評価 / 公財政
研究実績の概要

昨年度の終わりに、SIBを活用した米国ユタ州ソルトレイク市の就学前教育振興プログラムに関する実地調査をし、そのヒアリング結果、収集資料の整理を行った。ソルトレイクのSIBの仕組みについて全体構造-事業の概要、特にSIBの投資資金の調達(引き受け主体と投資額)、事業評価の仕組みの把握に務めた。当初、英国の事例を学ぶ中、SIB導入のねらいは公財政の節約にあると捉えていたが、ソルトレイクの事例を通じて米国においては新しい教育課題に取り組む際に、試行的に政策効果があるかをテストするための仕組みとして活用されている事も分かった。すなわちSIBで事業を推進し財政節約効果があれば、教育権保障は元来公財政支出教育費で賄うのが本来の姿であるから、事業推進手法はSIBの仕組みを導入し、経費負担を公財政支出教育費に転換する方法が採用されていた。
また同様の就学前教育プログラムへのSIBの導入は、シカゴにおいても実施されており、当初プロジェクトで成功基準をクリアしている事を確認した。初期成果に対する投資への「成功報酬」は50万ドルに上ると見られる。このプロジェクトのねらいは、成績不良や発達障害などの理由で特別支援クラスに進学する子を抑制し、普通教育への進学を促進することであった。普通クラスへの進学によって、子供一人当たり公的資金1ドルあたり7ドルの経費削減の効果があったとされる。この計算により普通教室進学児童一人当たり、9100ドルが投資家にリターンとして支払われる予定になっている。このスキームは、ソルトレイクのSIBモデルと同様であるが、成果に疑問を呈されたソルトレイクの事例とは違い、コントロール集団の設定、RTC(ランダム化比較試験法)を適用し厳密な評価方法を採っている。ゆえに評価結果についても問題がないとの結論を得ている。投資家はソルトレイクと同様ゴールドマン・サックスである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

評価手法に関する具体的な研究が進んでいない。日本国内の自閉症の子供の社会復帰のプログラムの展開を手始めに多角的な評価手法を検討しているが、アドホックな評価手法は色々アイデアがあるのだが、普遍的に一定の法則性をもって適用できる評価手法を見出すことがまだできていない。調査しているSIBの教育分野への適用事例を見ても、評価基準の設定の科学的合理的根拠のないままに恣意的に提要しているように捉えられるケースが散見される実情にあり、われわれの研究を通じて客観的で、普遍的に適用可能な教育SIB事業の評価手法を見出さねばならない。

今後の研究の推進方策

上記のように評価手法に関する研究調査が進んでいないので、その研究を鋭意進めることにエフォートを割くように努力する。またSIB の教育分野への適用も、就学前教育のみならず、初等・中等・高等教育、社会人教育、健康教育等にも幅広く適用され始めているので、できるだけ広範囲の適用事例に当たり、その有効性、問題点を探索することとする。

次年度使用額が生じた理由

家族の病気、親の介護が重なり、研究を予定通り進捗させることができなかった事が最大の要因である。特に海外調査も予定していたが予定通りに調査を実施できなかった。遅れていた海外調査(英国、インド、米国)を今年度前期中に実施し、最終年の課題と並行して進捗させ研究を完成させ当初の成果を上げたいと考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] SIBの教育分野への適用2019

    • 著者名/発表者名
      高見 茂
    • 学会等名
      未来教育研究所
    • 招待講演

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公開日: 2019-12-27  

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