研究課題/領域番号 |
17K04619
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研究機関 | 京都光華女子大学 |
研究代表者 |
高見 茂 京都光華女子大学, 健康科学部, 教授 (60206878)
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研究分担者 |
伊藤 健 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), その他 (20626973)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | SIB / 教育 / 就学前教育 / 学業成績向上 / 要支援学生の通学支援 / DIB |
研究実績の概要 |
コロナ禍のため、計画していた外国調査が実施できず、Webでの資料収集と読み込みが主たる作業となった。この数年でSIB(Social impact Bond)の適用範囲も拡がり、社会貢献債としてメディア媒体でもよく見かけるようになった。国内新聞に取り上げらた記事も収集し、わが国内における浸透度についてもある程度把握できた。 SIBの実現可能な領域は、①民間事業者の方が効果的に実施できる、②革新的な取り組みによってコスト削減効果の変動が想定される、③社会的便益の創出効果に関して不確定要素が多く、自治体の既存資金では実施困難である、④事業者が自己資金を投入して実施する事が難しい分野である、という条件の場合であるされる。 そのため具体的社会課題解決のためにSIBが適用される領域は、若年者就労支援、ホームレス支援、子ども家庭支援、再犯防止、貧困支援、教育であったが、近年糖尿病予防、大腸がん検診の促進等のヘルスケア分野への適用も増加しつつある。何れも社会的問題が生じた後の事後的対応ではなく、予防的措置を事前に講ずることでトータルな社会的負担を抑制する事をねらう。教育への適用事例としては、今までの現地調査、文献調査を通じて米国ソールトレイクシティおよびシカゴ、ポルトガル・リスボン、インド・ラジャスタン州についてその内容を検討した。昨年度は、i)スウェーデン・ノーショーピングの子どもの学業向上と排除防止プログラム、ii)韓国・ソウルの東アジア最初の案件である失業リスクの高い可能性のある脆弱な子どもの支援プログラム、iii)カナダ・サスカチュワンの学業成績の悪化が見込まれる学生支援プログラム、iv)英国・ランべスの特別支援学生への通学支援プログラムについて、文献調査及びネット検索によって研究を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、SIBの教育分野への適用事例の検討を通じ、そのスキームが教育分野においても効果的かどうかを把握する事にねらいがある。興味深い事例については、文献調査、ネット検索に加えて、直接現地に赴きヒアリング等の調査をする予定であった。しかし、コロナ禍による移動制限・自粛により研究活動が制限され、限られた部分での調査となり計画通りに研究を進める事ができず、計画が大幅に遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
コロナの終息がいつになるか極めて不透明な状況であるため、文献調査、ネット検索による資料の枠の中で研究を進める方向に転換しようと考えている。外国調査については、対象国の感染状況、自分のワクチン証明の取得等にかかっているため、今後の感染状況を見極め可能ならば外国調査を実施する予定である。国内事例については、検討中のものも含め、移動等の制限が緩和されればヒアリング調査からでも活動を再開したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で旅費調査費として残していたものが使用できなかったことによる。コロナ禍の終息次第であるが、調査に出向ける見通しが出てくれば、外国調査費として一部執行する予定である。また国内の感染状況が収まってきた段階で、国内調査を再開する予定である。後書籍、資料収集、報告書作成費用として執行する予定である。
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