研究実績の概要 |
2022年度は、COVID-19の影響で、韓国版#MeTooや多文化家族を所管する女性家族部廃止案により、移住女性に関わる劇的な変化が生じていた韓国でのフォロー調査ができなかったため、移住女性人権センターのwebで公表された情報やSNS発信などオンラインで得られる情報を分析した。そこで得られた知見を元に、韓国の研究者とオンラインミーティングを実施して論文を執筆中である。また2000年代初頭に日系ブラジル人を対象に行われた日本の実践につき、教材と実践が成立した背景について分析した。韓米の実践的な展開との異なりを把握し、批判的識字教育に内在する課題について再考するに至った。 さらに2020,2021年度にCOVID-19の影響で延期した米国での調査を行った。ボストンではESL for ActionやAdult ESL/Literacy From the Community to the Community: A Guidebook for Participatory Literacy Trainingの編著者であるDr.Auerbachに対するインタビュー調査を行い、第二言語識字教育の課題と可能性について検討した。また言語習得の枠を超え、公衆衛生や保健教育で実践的な展開がみられるアルバカーキでは、ESL for Actionの共著者であるDr.WallersteinによるCommunity Based Participatory Approach(CBPR)理論において、研究者のアイデンティティや権力性に踏み込んだ考察や、フレイレの課題提起型におけるListening ,Dialogue, ActionにReflectionを加えたWheel Modelの情報を得た。そのため今後は社会教育におけるReflectionの研究成果を参照し、批判的識字教育について再考察を試みたい。
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