研究課題/領域番号 |
17K04659
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研究機関 | 広島文化学園大学 |
研究代表者 |
小笠原 文 広島文化学園大学, 学芸学部, 教授 (10585269)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 子どもの表現活動 / 美的教育論 |
研究実績の概要 |
本研究ではイタリア、フランスおよび日本の幼児教育・保育機関の協力を得ながら表現活動における子どもの「美的感性」や「美的経験」の比較考察を行うことを第一の目的としてきた。平成29年度および平成30年度の国内実地調査および一部の海外実地調査は計画通りに進めることができた。しかし、最終年度(令和元年度)および延長申請した令和2年度は2000年1月から世界的に蔓延したコロナ感染症拡大を受けて、海外における実地調査はもちろん、国内の教育・保育機関における調査も困難を極めている。 本年度はこうした状況を鑑み、子どもの「美的教育」の基本に立ち返るべく文献を広く収集し、その整理に当たった。特にその中でも、Fr.シラーの著作『人間の美的教育について』および、それに関連する論文について読解し、研究ノートとしてまとめた。本年度、学内紀要で発表を予定している。 本研究の目的は、子どもの表現活動実践を事例に「美的感性」や「美的経験」の比較考察を行い、子どもが「美的経験」へアクセスするための手段としての芸術表現プログラムを構築することであるが、コロナ禍というファクターを除いてはこの研究は達成できなくなった。コロナ禍の中で「子どもの表現活動」がどのように変化を強いられ、その中で子どもの「美的経験」はどのように保証され「美的感性」が育てられるのかという点を調査項目に加え、研究を進めて行きたい。また、調査方法については、オンラインや調査用紙の活用などを考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に引き続き、本年度も研究期間の延長を申請した。昨年度の感染症第一波の時期には6ヶ月程度での収束を予想していたが、第二波、第三波と続き、現在は勤務地(居住地)も緊急事態宣言下にある。昨年度の研究延長時に予定していた「令和3年3月のイタリアおよびフランスでの調査」は見送らざるを得ない状況で、令和4年3月の渡航の実現可能性もまだ低いと言わざるを得ない。以上の理由から国内外の教育・保育現場における実地調査について、現状で実現可能な方法に変更する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
本年度も海外および国内における幼児教育・保育機関における実地調査実施が困難であることを受け、オンラインや質問用紙を活用した調査方法に切り替えていく。また、調査内容も子どもの表現活動について「コロナ禍以前」と「コロナ禍の中で」についてその実態を明らかにしていく必要がある。特にコロナ禍における「子どもの美的経験」について、その実態調査を行い、表現教育プログラムについて考察したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
フランスとイタリアへの渡航を予定していたが、それが不可能になったことに加え、国内の学会にかかる旅費出費も無くなったため。(昨年度の学会は全てオンライン開催であった)
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