本研究「乳幼児・児童期における芸術表現活動の構築ー『美的経験』に着目した芸術実践と応用」の目的は、フランスの芸術教育思想と実践を基軸としながら、イタリアおよび日本における乳幼児・児童の表現活動について、その実践事例を基に、「芸術と子どもとの出会い」について研究調査を行い、検証・評価することである。 本来平成31年度に終了する予定の研究課題であったが、世界的なコロナ感染症の拡大を受け、研究計画や内容を見直した結果、令和3年度まで研究期間を延長し、本年度はその最終年度となった。平成29年度および平成30年度は予定通り国内・海外実地調査を進めることができたが、平成31年度以降、延長期間の2年間(令和2年度、令和3年度)は海外への渡航および国内の教育・保育機関に立ち入ることが難しく、研究計画を大きく変更することが余儀なくされた。 本年度はイタリアの幼児・児童の造形表現教育についての理解を深めるためにCorrado RicciのL'Arte Del Bambini(邦題「子どもの美術」)の読解を試みた。本書籍は児童画の価値を見出した世界初の書籍と位置付けられているが、日本語の翻訳は存在しない。イタリア語(原著)の他に、フランス語と英語の翻訳が存在する。イタリア語については翻訳を専門家に依頼し、フランス語と英語の文献をもとに修正を加えて日本語に訳した。年度内の発表が間に合わなかったので、令和4年度に発表を予定している。
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