研究課題/領域番号 |
17K04746
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
桐谷 正信 埼玉大学, 教育学部, 教授 (90302504)
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研究分担者 |
坪田 益美 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (20616495)
佐藤 公 明治学院大学, 心理学部, 准教授 (90323229)
宮崎 沙織 群馬大学, 教育学部, 准教授 (90591470)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 多文化教育 / 社会科教育 / シティズンシップ教育 / 人口減少 / 国際比較 |
研究実績の概要 |
韓国ソウルにおいて開催された13th CitizED International Conferenceにおいて,EU及びユネスコで現在展開が進められているGlobal Citizenship Educationと本研究課題のMulticultural Educationにおいて育成されるMulticultural Citizenshipの関係性について,研究を深化させることができた。Globalizationの進行の結果として国内・地域内のMulticulturalizationが進行するため,異文化理解や寛容,社会的正義などの諸価値の尊重において共通性が存在するが,それらの諸価値が侵害される状況や解決のためのアプローチにおいて相違性が存在することが確認された,国立民俗博物館,ソウル歴史博物館における歴歴史教育プログラムや資料について調査した。 ポーランドのビルケナウ・アウシュヴィッツ強制収容所跡地における平和教育・歴史教育について調査した。当跡地は,ユダヤ系の人々にとっては家族や親族の死を悼む場でもあり,追悼と記憶の継承の両機能を有している。一般見学者が立ち入れない場所で追悼する姿が散見され,その姿そのものがホロコーストの惨禍を学ぶ教材となっている。そのため,静謐な環境での見学が求められている。展示も,ドイツのユダヤ博物館と同様に虐殺の記憶と記録を,学習者が思索的に解釈できるよう,そのままの姿で展示されている。また,ホロコーストの記憶を語る世代が減り,記憶の継承が難しい状況生じているが,ホロコーストの歴史と記憶を学習した高校生や大学生が,記憶の語りを継承し,ガイドを務めている。追悼と学習の場だけでなく,継承の場としてのあり方を示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り,韓国とドイツにおける調査を進めることができた。韓国とドイツの国民形成と多文化社会形成の関連について調査することができ,順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,計画通りにアメリカとカナダとドイツにおける調査を展開する予定である。平成29年度は,主に歴史教育に関する調査が中心であったが,平成30年度は社会的意志決定や市民的行為における「多様性」と「公共」のバランスをどのようにとっているかを中心に検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
現地調査としてドイツを予定していたが,日程の一部でポーランドも調査対象に追加した。ドイツに比べポーランドの物価が低かったため,予定していた滞在費などで残額が発生した。 発生した残額は,国内調査の充実に充てる計画である。
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