研究課題/領域番号 |
17K04814
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研究機関 | 日本体育大学 |
研究代表者 |
島田 功 日本体育大学, 児童スポーツ教育学部, 教授 (30709671)
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研究分担者 |
馬場 卓也 広島大学, 国際協力研究科, 教授 (00335720)
飯田 慎司 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (20184351)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 社会的価値観 |
研究実績の概要 |
昨年度の研究では社会的価値観の特性について明らかにした。その特性とは、①多様性と複合性、②相対性、③潜在性と顕在性、④変容性、⑤前提性(仮定性、条件性)である。更に、社会的価値観が表出する社会的オープンエンドな問題を開発した。 本年度は、引き続き、社会的価値観が表出する社会的オープンエンドな問題の開発を行った。先行研究である島田・馬場(2013)の開発した5つのタイプ(「分配」「ルール作り」「選択」「予想」「計画」)を基にして開発した。例えば、「分配」問題では「クラスを2つのチームに分けよう」(2年生と4年生)、「どのように分ければ平等と言えるか」(4年生)、「まんじゅうを分ける」(5年生)などである。「ルール作り」問題では「大繩ジャンプの記録を振り返ろう」(6年生)、アウトブレイク(6年生)などである。「選択」問題では「スキージャンプの選手を選ぼう」(5年生)「どちらのカルビ肉を買うか」(5年生)、「バスケットの選手を選ぼう」(6年生)なのである。「予想」問題では「路面電車」などであり、「計画」問題では「校内安全マップを作ろう」などを開発した。例えば、選択問題の「スキージャンプの選手を選ぼう」は、全国学力・学習状況調査の中学校数学科に出された問題を修正し、小学生にも分かるようにしたものである。実際に授業をしてみると、社会的価値観として「安定性」と「優秀性」の価値観が表出した。それらの価値観に応じて数学的モデルが構成され、「安定性」では、平均の考えや範囲の考えが、「優秀性」の価値観では、最大値が出された。授業の前半では、これらの価値観は半々で出てきたが、話し合いが終わり、授業の終わりでは「優秀性」の価値観が多く現れる結果となった。子どもたちの授業後の感想では、とても面白いとか答えが決まらない問題が面白かった等こうした問題に対する肯定的な意見が多く見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、社会的価値観が表出する社会的オープンエンドな問題の開発を目指して研究に取り組んだ。その結果、「分配」問題では「クラスを2つのチームに分けよう」(2年生と4年生)、「どのように分ければ平等と言えるか」(4年生)、「まんじゅうを分ける」(5年生)、「ルール作り」問題で、「大繩ジャンプの記録を振り返ろう」(6年生)、アウトブレイク(6年生)、「選択」問題では「どちらのカルビ肉を買うか」(5年生)、「バスケットの選手を選ぼう」(6年生)、「予想」問題では「路面電車」、「計画」問題では「校内安全マップを作ろう」などが開発できた。また、開発した社会的オープンエンドな問題を実際に授業を通して、どのような社会的価値観が表出するのかどのような数学的モデルが表出するのかなどが明らかとなった。更には、こうした社会的オープンエンドな問題に対する子ども達の感想なども入手できた。従っておおむね順調に研究が進展していると言える。今後は更に授業研究を進め、更なる社会的オープンエンドな問題の開発とそれを基にした授業研究を進めていきたい。。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、3番目の明らかにすべき内容に取り組む。すなわち、授業の過程を分析して、授業の導入、授業の中盤、授業の終盤で必要な力に焦点を当てて、社会的価値観を重視した授業によりどのような力が育成されるのかを分析する。具体的には、その授業研究の中で、「価値観に基づく数学的モデルを構成する力」や「価値観及び数学的モデルの多様性を尊重する力」や「価値観に基づく数学的モデルを批判的に考察する力」が育成されているかについて検証していきたい
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次年度使用額が生じた理由 |
外国の研究者にお会いして研究(数学的モデリングの検証場面に表れる価値観の研究)について交流をする予定であったがそれができずに繰越金が発生してしまった。
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