研究課題/領域番号 |
17K04838
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
大谷 哲弘 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (00783911)
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研究分担者 |
竹下 浩 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (30629671)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 高校3年生 / 就職希望者 / キャリア選択 / 納得感 / 熟考 |
研究実績の概要 |
本研究では,就職を希望する高校生を対象に,キャリア選択時の納得感に関してインタビューを行い,得られた質的データをM-GTAを参考に分析し,仮説的モデルを生成する(研究1)。次に,キャリア選択に対する納得感を量的に測定できる尺度を開発し(研究2),質問紙調査を短期縦断的に行い,その納得感に影響を及ぼす要因を検討する(研究3)。さらに,研究3の調査協力者のうち同意を得られた者を対象に追跡調査を行い,就職1年目の離職意識と高校3年時のキャリア選択における納得感やその関連要因との関係を検討する(研究4)ことを目的とする。 平成30年度は,約1800人を対象に4回の調査を行った。まず、研究1の結果に基づいて、キャリア選択に対する納得感を量的に測定できる尺度として、意義(第1因子)と見通し(第2因子)から構成される「キャリア選択に対する納得感尺度」を開発した(研究2)。また、キャリア選択を考えるときに行われている内的基準を外的基準に照らして吟味し,外的基準が内的基準を刺激していることを測定できる「キャリア選択に対する熟考尺度」(1因子構造)およびキャリア選択時におけるあきらめを測定する「キャリア選択に対する上手な諦め尺度」(1因子構造)を開発した。 これらの尺度および研究1の結果に基づいて抽出された要因であるストレス反応、就職活動における非機能的認知、ソーシャルサポートを測定し、キャリア選択時の納得感に影響を及ぼす要因を調査した。(研究3:現在分析中)。 最後に、平成31年度の追跡調査の準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,研究協力を得られた就職希望者1800名に対して,4回の調査を行えた。また、尺度開発も順調に行った。さらに,研究4を実施する調査計画を立て,すでに岩手大学倫理審査委員会の承認を得ており、各学校長の許可を得たのち、平成30年度調査協力者に対して追跡調査の依頼をすませている。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は,本研究の主目的である就職1年目の離職意識と高校時のキャリア選択に関する要因との関連を調査する予定である。そのための準備として、当該大学における倫理委員会承認、調査協力校の学校長の許可および調査協力者への依頼は済んでいる。10月に行われる調査に向けて、調査内容の検討を行っていく。 追跡調査のためどのくらいの数が確保できるか不明であるため、少数の場合に備えて、平成30年度の協力者からインタビュー調査も行う予定である。 また、開発した尺度の再検査信頼性や妥当性の検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の竹下浩氏は,質的データの分析手法である修正版グラウンデットアプローチの専門家である。竹下氏を追加したことにより ,インタビューデータの分析作業が進展したが,研究上の打ち合わせのための旅費やデータ整理のための費用等が必要になった。このことにより,平成30年度後期に必要な研究費(調査旅費,インターネット調査のシステム使用料など)を,前倒し支払請求することとした。 計画していたインターネット調査は、調査協力校の学校長から個人情報の保護の観点から許可がおりなかった。そのため、郵送による追跡調査を行うことになった。調査方法が変更になったことにより、平成31年度使用減額分の一部まかなえることになった。また、代表者である大谷の必要経費のうち,まず,旅費を節約することや平成31年度に予定しているインタビュー調査のテープお越しは外注せずに,研究代表者自身で行う。 したがって,平成31年度に請求する金額は減るものの,研究を遂行する上では大きな問題はない。また,研究計画自体に大きな変更はないため,当初の予定通り,研究目的の達成を目指せると考える。
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