研究課題
基盤研究(C)
イオン化した原子を用いて薄膜を堆積させる大電力パルススパッタ(HPPMS)の発展手法として、プラズマ電位を効率よく上昇させることで膜の構造を制御する、デュアルカソード型バイポーラHPPMSのアイデアを検証した。実動作は今後の課題となったが、電位上昇の機構が対極への電流流入によるものであるという、重要な知見を得た。また我々が以前に開発した三極型HPPMSを用いてMo金属からなる微細構造の作製を試み、プロセスの最適化に寄与する様々な知見を得た。
薄膜工学
低温で緻密な膜が製膜できるHPPMS、中でもバイポーラHPPMSは、近年非常に期待されている製膜手法のひとつである。これをさらに改善する本手法は、産業分野に大きな進歩をもたらすものと考える。この手法の実際の動作にまで期間中に到達できなかったことは大変遺憾だが、主要な動作原理が理学的に解明できたことで、近々のうちに動作を実証できると確信している。またプラズマ電位制御型のHPPMSに対する、圧力・放電ガス種・印加電圧などの影響が明らかにできたことは、今後の本手法の発展に大きく寄与するものと考える。