研究課題
基盤研究(C)
有限要素法を用いた電磁界シミュレーション及び熱構造解析計算により、常伝導寄生モード減衰型1.5GHz-TM020高調波空洞を設計した。本設計の高調波空洞はKEK-LSのような電子エネルギー 3 GeVクラスの極低エミッタンスリングで十分に利用可能な性能を備えていることを粒子トラッキングによる数値計算にて確認した。また、設計に基づきアルミニウム合金を用いて低電力モデル空洞を製作し、機械構造的にも本空洞が製作可能なこと、電磁界シミュレーションで予測された高周波性能を備えていることを確認した。
蓄積リング型加速器
本成果により、運用性及びメンテナンス性に優れた常伝導方式の高調波空洞の実現可能性が大いに高まった。常伝導方式でも超伝導方式に迫る性能を有する高調波空洞の実現は放射光源加速器分野の高調波空洞に関する常識を覆すことになり学術的意義が大きい。さらに、研究を進め実際の放射光リングにて安定なバンチ伸張運転をデモンストレーションできれば、世界中の既存施設においても高調波空洞の導入が一気に進むと思われる。