研究課題/領域番号 |
17K05146
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
福田 宏 北里大学, 一般教育部, 准教授 (70238484)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 8の字解 / コレオグラフィー / モースインデックス / 分岐 |
研究実績の概要 |
前年度までの研究によって計算が可能になった,斉次ポテンシャル-1/r^aおよびレナード=ジョーンズポテンシャル1/r^12-1/r^6で相互作用する等質量3体問題の8の字解のモースインデックスを用いて,8の字解から分岐する周期解を数値計算によって多数発見した。そして,この数値的発見から,逆に,周期解が分岐する点はモースインデックスが変化すること(分岐の必要条件),どのような解が分岐するかは,モースインデックスを変化させる第二変分を0にする変分関数によって決まる事を数学的に証明した。数値的に発見した解は以下の通り。 斉次ポテンシャル系については,aをパラメタとして8の字解のモースインデックスの変化する点は,既に昨年報告した通り,a=0.9966とa=1.3424である。a=0.9966では,軌道がx方向にもy方向にも対称でコレオグラフィーではないDxy型の周期解が分岐する。a=1.3424では,軌道が原点対称でコレオグラフィーでないD_2型の周期解と,x方向だけ対称でコレオグラフィーではないDx型の周期解が分岐する。 レナード=ジョーンズポテンシャル系については,周期Tをパラメタとして,T→∞でs斉次系の8の字解に漸近する8の字解について計算を行った。モースインデックスの変化する点は7点あり,そのうち2点は斉次系で見出されたのと同じDxy型を分岐し,2点はD2型とDx型を分岐する。残る3点は,軌道がx方向にだけ対称,x方向にだけ対称,原点についてのみ対称なコレオグラフィーを分岐する。これらは,8の字解より対称性の低いコレオグラフィーで,A. Chencinerが2002年の国際会議(ICM 2002)で提出された疑問「対称性の低い8の字解は存在するだろうか」に答えるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績の概要で述べた通り,8の字解のモースインデックスが分岐現象に深く関係していることを見出し,8の字解から分岐する周期解を多数発見した。これは当初の想定を上回る成果である。
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今後の研究の推進方策 |
まず,分岐点ではモースインデックスが変化する事が明らかにされたが,逆にモースインデックスが変化する点は全て分岐点だろうかという問題を考ることで,一般にラグランジュ力学系の分岐の必要十分条件を明らかにしたい。一方,ヤコビ座標を使って重心運動を分離することで,対称性の低い周期解のモースインデックスの高精度な計算を可能する。これによって8の字解から分岐した周期解からさらに分岐する周期解を追跡することができる。こうして,可能な限り分岐解またはその分岐解を追跡して分岐解の構造を明らかにしたい。特に,負の指数aを持つ斉次ポテンシャル8の字解の追跡を行うことで,a=-2で8の字解は直線に潰れてしまうことから,斉次8の字解の発生のメカニズムに迫ることができるかも知れない。 次に,8の字解と分岐解の線形安定性を計算し,モースインデックスとの関係を明らかにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
サーバーの価格が当初想定より安かったため。
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