研究課題/領域番号 |
17K05430
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
加藤 幾芳 北海道大学, 理学研究院, 名誉教授 (20109416)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 複素座標スケーリング法 / 共鳴状態 / 多体連続状態 / 非束縛状態 |
研究実績の概要 |
離合集散する核子多体系としての原子核を理解するために、束縛状態だけでなく非束縛状態である連続状態の理解が不可欠である。本研究の目的は、束縛状態、共鳴状態、各オープン・チャンネルの連続状態を統一的に記述する複素座標スケーリング法を用いて、連続状態の特徴的性質を調べることである。そのため、次の3つ課題にと組んだ:① これまで複素座標スケーリング法では扱えないとされてきた仮想状態(virtual state) が複素スケーリングされた連続状態を分析することによって、調べられることを示す。② 多体連続状態を各オープン・チャンネルからの連続状態に分解した状態密度(Continuum Level Density)を用いて、散乱・反応断面積が分析できることを示す。③ これらの方法を用いて、A=9(9Be, 9B)の構造(1/2+ 仮想状態、ミラー対称性、Thomas-Ehrman 効果)を調べる。 これらの課題はすべて計画期間中(2017-2019年度)に取り組まれ、当初の期待に沿った研究成果を上げることが出来て、結果を6篇の論文として、発表・出版してきた。しかし、最終年度の2020年初めに発生した新型コロナウイルス感染拡大のため海外との旅行が出来なくなり、共同研究者(モンゴル、カザフスタン)との研究成果について討論と今後の研究についての議論を計画通りに行うことが出来なくなった。そのため、研究計画のその部分を2020年度に延期したが、コロナの感染収束に到らず、さらに2021年度に延期することとした。 一方、この間書き進めてきたレビュー論文「Complex scaling: Physics of unbound light nuclei and perspective」を、2020年度、出版することが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究課題「複素スケーリングされた多体連続状態の特徴的性質」の実質的研究は昨年度(2019年度)終了した。しかし、その成果について共同研究者(モンゴル、カザフスタン)との討論を行い、今後の研究について打ち合わせを行う計画であったが、昨年(2020年)はじめに始まった新型コロナウイルス感染拡大のため海外との旅行が出来なくなり、実施を先延ばしすることとなってしまった。そのような状況の下で、海外との遠隔(リモート)での情報交換・議論を行うために、リモート会議備品を購入し、利便性を図ることを行った。また、これまで行って来た計算結果のグラフ化など研究成果の整理のためにパーソナルコンピュータ・ソフトの充実を図ることを行った。 さらに、新型コロナ感染は収束することなく1年以上経過し、研究の更なる継続・延期を余儀なくされた。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染が収束し次第、モンゴル・カザフスタンを訪問し、本研究課題の成果と今後ケンキュの進め方について議論する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大に伴う国内旅行及び海外渡航困難のため、共同研究者との研究成果と今後研究遂行について議論することが出来なくなったため、海外渡航旅費が次年度に使用延期になってしまった。
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