研究実績の概要 |
本研究の目的は、束縛状態、共鳴状態、各オープン・チャンネルの連続状態を統一的に記述する複素座標スケーリング法を用いて、連続状態の特徴的性質を調べることである。そのため、① これまで複素座標スケーリング法では扱えないとされてきた仮想状態(virtual state) が複素スケーリングされた連続状態を分析することによって、調べられることを示す。② 多体連続状態を各オープン・チャンネルからの連続状態に分解した状態密度(Continuum Level Density)を用いて、散乱・反応断面積が分析できることを示す。③ これらの方法を用いて、A=9(9Be, 9B)の構造(1/2+ 仮想状態、ミラー対称性、Thomas-Ehrman 効果)を調べる、ことを行った。 これらの課題はすべて計画期間中(2017-2019年度)に取り組まれ、当初の期待に沿った研究成果を上げることが出来て、結果を6篇の論文として、発表・出版してきた。しかし、最終年度の2020年初めに発生した新型コロナウイルス感染拡大のため海外との旅行が出来なくなり、共同研究者(モンゴル、カザフスタンウクライナ)との研究成果について討論と今後の研究についての議論を計画通りに行うことが出来なくなった。そのため、研究計画のその部分を2020年度に延期したが、コロナの感染収束に到らず、さらに2021年度に延期することとなった。 一方、この間、書き進めてきたレビュー論文「Complex scaling: Physics of unbound light nuclei and perspective」を、2020年度、出版した。コロナ感染が収束しない中、2021年度、オンラインでの研究打ち合わせや、研究結果についての議論を行い、本研究を終了することとなった。
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