研究成果の概要 |
温度と分子の集合の仕方の違いだけで, どこまでガラスの性質を再現できるかを明らかにすることを目的として, コンピュータ・シミュレーションを行った。 実験よりガラスはある温度を超えると分子が急激に大きく動くようになることが知られている。そのような性質を示す状態をいくつかシミュレーションで再現し, 温度とともにどのように分子が拡散していくかを観察した。また, その際に硬さがどのように変化していくかも観測した。ガラスの特徴を備えていても, 分子の拡散の仕方は, 状態により様々な異なる特徴を示した。しかし, 分子が急激に大きく動くようになる温度より高いところでも硬さは保たれるという共通した特徴があった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
複雑な現象を単純な要素に分解して, その本質を明らかにしょうする研究手法が, ガラスのコンピュータ・シミュレーションでも有効である事を示すことができた。 コンピュータ・シミュレーションでは, 複雑な要素を取り入れることが簡単であるが故に, 必ずしも本質的で無い要素を盛り込みがちである。また, それが故にシミュレーション方法が物理的に正しいかどうかの検証がなおざりにされがちである。物理的に精度が高く, かつ本質的な要素だけを取り出したコンピュータ・シミュレーションがガラスの最終的に行き着く状態の研究においても役に立つ事が示せたことは意義深い。
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