3年間の研究期間において、安価で安定であるフェナントレンや1,4-ジシアノベンゼンなどの光レドックス有機触媒を用いて、アリールボロン酸の光脱ボロン化や安息香酸の光脱炭酸を経由したアリールラジカルの生成およびそのラジカルのアルケンへの付加や還元反応などを見出した。今まで、アリールラジカル生成のため、基質として爆発性のあるジアゾニウム塩や銅などの金属と、加熱などの激しい反応条件が必要であった。しかし、本研究の結果、基質として安定で安価であるアリールボロン酸や安息香酸を使用でき、非常に穏やかな条件下、金属を使用せずにアリールラジカルが生成でき、様々な有機合成反応に応用できることを明らかにした。
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