研究課題
前年度までに、(1)拡張ゲート電界効果トランジスターのゲート電極表面にあらかじめシランカップリング処理を施すことで酵素をより強固に固定化できること、(2)この方法でグルコースセンサーを試作したところ汗や唾液に含まれる低いグルコース濃度に対応する感度が得られたこと、(3)1ヶ月の間、センサーを繰り返し使用しても感度に目立った低下はみられなかったこと、を報告している。最終年度は、酵素を包括固定できる絹フィブロインを用いて拡張ゲート電極へ酵素を固定化する方法を検討し、さらに、この方法で試作したセンサーの耐環境特性を調べた。絹フィブロインは生体適合性の高いタンパク質で、酵素を3次元的に固定化できる可能性がある。まず、酵素を含む絹フィブロイン水溶液を作製し、それをゲート電極表面へスピンコートした。その後、80%のエタノール水溶液で不溶化処理を行い、酵素の固定化を行った。作製した拡張ゲート電極を用いてセンサーの性能を調べたところ、高い感度を保ったまま長時間繰り返し測定可能であることが明らかになった。センサーを繰り返し使用する場合、使用のたびに減菌・殺菌処理が必要である。このことから、酵素を固定化した拡張ゲート電極に対して低温殺菌の可能性を調べた。酵素を固定化した拡張ゲート電極を60℃・10分間加熱処理しても、センサーの性能が保たれることが判った。遊離酵素の場合、この温度で失活することから、絹フィブロインで包括された酵素は耐熱性に優れていることが実証された。センサーのシステム化についても検討した。OPアンプで構成される差動回路を用いたところ、センサーの出力電圧のドリフト成分が抑えられ、S/N比が向上することが確かめられた。
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