研究課題/領域番号 |
17K06552
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
神谷 浩二 岐阜大学, 工学部, 教授 (50252119)
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研究分担者 |
原田 守啓 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 准教授 (00647042)
児島 利治 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 准教授 (90346057)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地下水涵養 / 地下水流動 / 扇状地河川 / 河道特性 |
研究実績の概要 |
本研究は,濃尾平野における地下水管理手法のあり方の検討に資するため,濃尾平野北部に位置する長良川扇状地を対象に,長良川からの地下水涵養機能を解明するとともに,異常渇水時の地盤沈下進行への対策も含めて地下水涵養量の常時監視法を検討するものである. 初年度の平成29年度は,地下水涵養量の実態の評価,地下水涵養・流動解析モデルの構築とそれによる涵養機構の分析に主眼を置いた.地下水涵養量は長良川の扇頂から扇端付近の区間での河川流量の差に基づいて求めるが,その涵養量の実態データの蓄積を主目的として,河川流量を河川表面の画像から比較的簡便に推定できるSTIV法(時空間輝度勾配法)の適用を検討した.STIV法による河川流量は,従来からのADCP(超音波流速計)によって測定したものに比べると,2割程度小さめになる傾向にあった.また,STIV法による河川流量の精度への表面流速や水深の影響関係などの特徴も確認された.しかしながら,河川流量差としての地下水涵養量は,既往のADCPによる調査データと比較しても遜色ない値であった.一方,地下水涵養・流動解析モデルについて,長良川扇状地を中心とした地域のボーリングデータに基づいて地層・帯水層モデルを構築して,対象地域ではおよそ100m厚さの砂礫層が主体となって構成していて,砂礫層には10m程度の薄厚の粘性土層が介在しているなどの特徴が表現された.そして,試行解析を行う趣旨で,平面の東西1kmで南北3kmの領域を抽出した3次元の地下水涵養・流動解析モデルを構築して,平面2次元河川流れ解析で求めた河川の水位分布を境界条件として与え,定常解析によって地下水涵養・流動の計算を実施した結果,河川から地下浸透する様子などが表現され,解析モデルの計算の実行可能性が検証された.今後,地下水位分布等の調査データとの対比によって,解析モデルの精度検証等を行う予定とした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は平成29年度~31年度の3年間で遂行するものであり,上述した目的を達成するため,地下水涵養量の実態データの蓄積,実態データや数値解析モデルに基づいた地下水涵養量への河道状況や周辺地下水流動の影響分析を行うものである.初年度は,上述のように,地下水涵養量データの蓄積のための河川流量調査法の検討,数値解析モデルの構築を進めた.これによって,データの蓄積と解析モデルの精度検証を図るとともに,実態調査と数値解析結果に基づいた地下水涵養量への影響要因の分析に繋がる成果が得られていて,研究は順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
2年目の平成30年度は,前年度に引き続き地下水涵養量データを蓄積するとともに,周辺地下水位や河道特性等の地下水涵養量への影響要因データの取得を行う.一方で,地下水涵養・流動解析モデルの精度向上等の検討を進める.これら実態データや数値解析結果に基づき,地下水涵養のメカニズムを究明して,地下水涵養量への影響要因の分析を行い,河川水位による地下水涵養量の常時監視法の開発に繋ぐ予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究2年目に地下水涵養量等のデータを強化する理由で幾らかの次年度使用額が生じ,そのデータの調査・試験にかかわる消耗品費等の一部に充てる計画である.
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