本研究は中世及び近世の社寺において、境内各建物の規模がどのように決定されていかについて研究をおこなったもので、その着眼点は建物の正面間口の総間である「表の間」の相互の関係性である。 寺院においては本堂と門、塔、鐘楼などと、神社においては社殿と拝殿、門などというように、中心的建物と付属建築の「表の間」の間にどのような関係性があるかを検討した結果、中世に限らず近世においても、各建物の「表の間」は簡明な整数比の関係や外法を内法に揃えるなどの関係性が認められた。このように寺社の緒堂社は任意に規模が決定されているのではなく、中心建物にそった規模計画がおこなわれていることが本研究で確認された。
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