研究課題/領域番号 |
17K06824
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
前田 将克 日本大学, 生産工学部, 准教授 (00263327)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 摩擦攪拌接合 / ステーショナリーショルダー型ツール / 肉盛 / マルチパス接合 |
研究実績の概要 |
令和元年度は,種々の開先形状と配置方法に加えて,母材と異なる肉盛材を使用したマルチパス摩擦攪拌接合継手を作製し,その継手特性を比較する予定であった. しかし,担当学生のツール加工技術が向上せず,ツールの寸法精度を十分に保つことができなかった.このため,肉盛材がツール内部で断裂して供給できなくなる等の接合不良が多く発生した.その結果,開先形状,材料配置,異種肉盛材使用の効果を検証する以前に,ツール本体とステーショナリーショルダー間の摺動発熱量やツール内通過中の肉盛材への熱伝達を制御することができず,一様な条件下での着目要素の比較ができなかった. まず,比較の基準とするべく,これまで積み上げてきた45°V開先3パス2層摩擦攪拌接合継手の組織と継手特性の再現ができなかった.その原因調査に時間を要したが,問題がツールの寸法精度にあることを見出したが,その後もツール加工技術があまり向上せず,原因の除去には至らなかった. 当研究室で開発中のステーショナリーショルダー型ツールでは,プローブの回転によって撹拌・流動する材料によってステーショナリーショルダーを押し上げてツール本体に設けたテーパ部に接触摺動させる機構を有する.このとき,ステーショナリーショルダーが摩擦発熱することでその中を通す肉盛材を予熱する.このツール本体とステーショナリーショルダーのテーパ部が均一に面接触して摺動しなければ,ステーショナリーショルダーを均一に加熱することができない.また,肉盛材の供給通路の寸法精度も,ステーショナリーショルダーと肉盛材の接触に伴う熱伝達を支配する.この部位は,ステーショナリーショルダーのヒートシンクとしても機能し,ツール全体の温度分布を一定に保持するために重要なロールを担っていることが判明した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和元年度は種々の開先形状と配置方法に加えて,母材と異なる肉盛材を使用したマルチパス摩擦攪拌接合継手を作製し,その継手特性を比較する予定であった.しかし,先述のように,ツールの寸法精度を十分にそろえることができなかったため,開先形状,材料配置,異種肉盛材使用の効果を比較して継手特性への影響を導出することが困難となった.ツールは学生が自作しているため,寸法精度が学生の加工技術・練度に大きく左右されてしまう.
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は,寸法精度が要求されるツール本体およびステーショナリーショルダ部品の作製を専門業者に依頼し,精度向上を図って研究計画の完遂を図る. アルミニウム合金厚板のマルチパス肉盛摩擦攪拌接合における開先形状,材料配置,肉盛材質の効果について検討する準備を早急に整え,当初計画に盛り込んだ全課題の解決を目指して研究を推進する.
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次年度使用額が生じた理由 |
摩擦攪拌接合過程の現象再現性の問題解決に時間を要したため,材料の購入と外国での成果発表を保留したことが原因で残額が生じた. 今年度も外国での成果発表は困難であると予想されるため,ツール等製作の外注費として使用し,問題克服と課題達成を図りたい.
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