本研究の目的は、親鳥(教師)との相互作用が幼鳥(学習者)の動機づけレベルを高めることで学習が促進される、との仮説を実験的に検証することである。鳴禽類の幼鳥は臨界期に親鳥から直接歌を聴き憶え、模倣することで親鳥と同じ歌をさえずるようになる。ここでは歌を聴き憶える感覚学習に焦点を絞り、親鳥の存在が幼鳥の中脳ドーパミンニューロンの活動に与える影響を神経生理学的手法により検討した。その結果、親鳥の歌に対する中脳ドーパミン細胞の応答は親鳥が存在する文脈で顕著に亢進することが明らかになった。このドーパミン細胞の活動が歌の記憶形成を促進することが示唆された。
|