研究課題/領域番号 |
17K07385
|
研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
吉田 英樹 京都工芸繊維大学, 応用生物学系, 准教授 (30570600)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | yki mRNA / 翻訳抑制 / ショウジョウバエ |
研究実績の概要 |
申請者らが明らかにした、yki mRNAの翻訳抑制に関与する3'非翻訳領域(untranslated region: UTR)内のステムループ(stem loop:SL)に結合し得る12種の候補遺伝子をショウジョウバエの培養細胞であるS2細胞において、それぞれノックダウンし、yki mRNAのfoci形成、mRNA量、タンパク質量への影響を、in situハイブリダイゼーション法、リアルタイムPCRを用いたmRNAの定量解析法、ウェスタンブロット法により解析した。12種の候補遺伝子のノックダウン効率は、リアルタイムPCRにより解析し、十分にノックダウンされていることを確認している。いずれの候補遺伝子のノックダウンにおいてもyki mRNA量は影響が見られなかった。一方yki mRNAのfoci形成は、4種の候補遺伝子のノックダウンにおいて低下が見られた。foci形成の低下が見られた4種のうち2種については、ykiタンパク質量の増加も認められた。 上記の解析と並行し、yki mRNAの翻訳抑制に関与する遺伝子の同定を目的とした遺伝学的なスクリーニングを下記のように行った。申請者らが樹立したショウジョウバエ系統は、yki mRNA量は通常の20倍ほど増加しているが翻訳抑制が働いているためにタンパク質量の増加が抑えられ、成虫複眼の形態異常はそれほどひどくない。この系統とゲノム領域の一部を欠失した染色体を持つ系統とを交配し、複眼の形態異常がひどくなることを指標にスクリーニングした。288系統と交配した結果、表現型を増強した系統が33得られた。この13の領域を更に狭めるために、この領域内に小さい欠失を持つ系統と交配した。210系統と交配した結果、8系統で増強が見られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
yki mRNAの3'UTRに結合し、そのfoci形成、翻訳抑制に関与する因子の同定では、foci形成に関与し得る因子を4種同定できた。翻訳抑制に関しては、予想とは異なる結果が得られ、現在その理由を解析中である。また、翻訳制御に関与する因子の同定を目的とした遺伝学的スクリーニングは、二次スクリーニングを終え、遺伝子個々の突然変異体を用いた三次スクリーニングを行っており、当初の計画通り進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
遺伝学的スクリーニングは、計画通り三次スクリーニングを進め遺伝学的に相互作用する因子の同定を行う。yki mRNAの3'UTRに結合する因子が翻訳抑制へ関与し得るかどうかに関しては、当初予定していたものとは異なる結果が得られたため、ykiタンパク質量への影響の有無の調査範囲を広げ、foci形成に影響を与えない因子に関しても解析を行う。また、ykiタンパク質量が減少したら、細胞の増殖にも影響が与えることが予想される。そこで、候補遺伝子それぞれをノックダウンした際の培養細胞の増殖に関しても解析を行う。
|