本研究が明らかにした、マレーシアの山村域の過疎・高齢化は、マレーシアをはじめとした熱帯林をもつ途上国が共通して抱える問題である。パソ保護林で起きている社会・経済構造変化に起因するケモノ(イノシシ)による熱帯林の更新阻害問題は、今後、世界中のどこで発生してもおかしくないということである。その歴史の特異性から当問題がいち早く発生したパソ保護林を調べることで、今後、世界中のどこでも起こり得る熱帯林のケモノによる自律的な破壊・劣化の問題を認知することが、この問題による森林劣化を回避するために必須である。
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