世界的に重要な農業害虫群であるSpodoptera属において、超音波コミュニケーションの有無に差異があることを明らかにした。2019年に日本に初侵入したツマジロクサヨトウでは超音波を発しないが、ハスモンヨトウやシロイチモジヨトウでは、オスが求愛時に超音波を発してメスとコミュニケーションしていた。このように近縁種間でコミュニケーション様式が異なる事例は少なく、性的なシグナルの獲得と進化的背景を探求するのに好適な材料であることを示す。また、超音波に対する飛翔中のガの忌避パターンにも種間差があるものの、忌避を高率で誘起する超音波の時間構造は共通しており、超音波を用いた防除技術の開発に有用である。
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