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本研究「腸管のオレオイルエタノールアミド（OEA）による食欲抑制機構と生活習慣病予防に関する研究」は、食欲抑制物質といわれるOEAに注目し、その生成経路や作用機序を解明するとともに、生活習慣病予防への有用性を確認することを目的とした。以下に本年度の結果を述べる。
腸管のOEAシグナルと摂食行動における食事オレイン酸の重要性：前年度の低オレイン酸食の短期間負荷（１週間）結果から、本年度は２週間負荷の試験を行った。摂食量の増加は変わらず観察され、剖検の結果白色脂肪組織の増加を認めた。さらに、血漿中のリポタンパク質の解析を行ったところ、低オレイン酸食負荷では血漿中のカイロマイクロンサイズのリポタンパク質が増加することがわかった。低オレイン酸食負荷で脂質の吸収の低下と糞便への排泄増加が懸念されたが有意な差は観察されなかった。
腸管のインスリンシグナルの欠如とOEAシグナルの関連性：昨年度はヒト結腸癌由来培養細胞株Caco-2を用いてインスリン受容体（INSR）の欠損株のｍRNAシークエンスの解析をさらに発展させるため、ストレプトゾトシン処理マウス、高脂肪食負荷マウスを作成し、腸管のｍRNAシークエンスを行った。各腸管とINSR-KO Caco-2でPathway解析を行い特異的な変化を見出すとともに、共通して変動する遺伝子を特定することができた。使用した腸管でOEA量の低下を確認した。
胆汁酸インバランスの影響：二次胆汁酸であるDCAはOEAの生合成に関わるNAPE-PLDの阻害をすることが知られている。そこで、0.05％DCA食を一週間負荷して腸管のOEAを測定したところ、腸管のOEAの低下が観察された。短期間負荷であったため摂食量への大きな影響は観察されなかった。一方でDCA負荷で盲腸重量の有意な低下が確認できた。
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