研究課題
当年度はエチオピア北部、ティグライ州Kihen村のアグロフォレストリー試験地にて、作物の栽培試験を行った。試験地ついては6区画準備し、Acacia salignaの苗を2018年7月に植栽した。しかし、Acacia salignaの苗は2018~2019年の乾季に一部が枯死し、ほとんど生存していないブロックも存在した。当年度はAcacia salignaの苗の生存数の異なる6区画において栽培試験を行い、区画間で収量などのデータを比較した。6区画の試験地については2019年5月に耕起を行い、7月にコムギ・オオムギ・ガラスマメの種子を6区画それぞれに播種した。試験地は動物の侵入を防ぐために有刺鉄線で囲っているにもかかわらず動物が侵入し、被害が発生した。その結果、いずれの作物も収穫できず、コムギはほとんど成長しなかった。しかし、オオムギとガラスマメの地上部は残存していたため、2019年11月に地上部を刈り取り、バイオマスを測定した。ガラスマメの地上部バイオマスはAcacia salignaの植栽密度には正の相関があり、特にAcacia salignaの植栽密度が高いブロックではガラスマメの地上部バイオマスは大きかった。このことから、Acacia sglignaの植栽によって土壌中の養分、特に窒素濃度が増加し、ガラスマメのバイオマスが増加した可能性が高い。オオムギについても同様の傾向はあったが、統計的に有意な相関ではなかった。
2: おおむね順調に進展している
今年度は、アグロフォレストリーの試験地で作物を栽培する試験を開始し、植栽したアカシアの苗木の密度とガラスマメの地上部バイオマスが正の相関を示すことを確認した。このことから、本研究課題の計画は概ね順調に進展している。
Kihen村の試験地について、作物 (コムギ・オオムギ・ガラスマメ) の栽培試験を実施する。試験地内のAcacia salignaを植栽したブロックと、植栽していないブロックの両方に作物を播種し、成長や収穫量を比較する。また、収穫前の作物における共生微生物の感染状況について観察する。さらに、土壌中の養分の分析を行い、Acacia salignaの植栽における土壌肥沃度の改善効果を明らかにする。
これまで配分された科研費における残額ついて、今年度は705,559円となった。内訳については、千葉大学に配分した経費が550,000円、鹿児島大学に配分した経費が116,797円、森林総合研究所に配分した経費が38,762円未使用な状況である。千葉大学の残額については旅費に利用する予定であったが、研究分担者の都合がつかず、海外出張を計画することができなかったために発生した。次年度は研究分担者のエチオピアへの旅費と、海外出張に係わる出納経費に使用し、経費をすべて使用する予定である。鹿児島大学の残額については、試験に必要な物品の購入に使用したが、研究分担者の担当する研究活動が当初の予定より減少しているために、使用しきれなかった。次年度は、成果のとりまとめに必要な国内旅費と消耗品に使用し、経費をすべて使用する予定である。森林総合研究所の残額については、海外出張に係わる出納経費が当初の予定より少なかったために発生した。次年度は、残額を海外出張に係わる出納経費に追加して使用し、経費をすべて使用する予定である。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
日本緑化工学会誌
巻: 45 ページ: 115-120
https://www.ffpri.affrc.go.jp/ipo/jointresearch/biseibutsu/index.html