本研究では,地下水の供給する栄養塩が沿岸域の生物生産にどの程度寄与するかを評価することを目的とした.貝殻の炭素安定同位体比δ13CSHELLおよびδ18OSHELLから推定した環境水のδ13CDICとδ18OH2Oは,実測値とよく一致し,地下水環境を評価するプロキシとして有効であることが示された.2ソースモデルによる地下水評価では,河川水の流入する水域で地下水と河川水の寄与を区別できなかった.しかし,ベイズ統計モデルを用いた地下水・上流河川水・沖合水の3ソースモデルにより、イワガキに寄与する地下水の寄与率を正確に評価することが可能であることが示された.
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