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2018 年度 実施状況報告書

農業・農村における気候変動の影響と回復力の強化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K07960
研究機関千葉大学

研究代表者

丸山 敦史  千葉大学, 大学院園芸学研究科, 准教授 (90292672)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードフィリピン / タルラック県 / 脆弱性 / 回復力
研究実績の概要

本年度は、まず、昨年度行ったDEA分析の結果を精査した。その結果、脆弱性・回復力の評価に、入力変数と出力変数の間に有機的な関係を想定する一般的なDEAの考え方を導入することは適当ではないことが分かった。具体的には、個別主体の評価において、ターゲットとなる数値への移行が非現実的な変化(学歴を下げるなど)を求めることになっていたこと、一つの変数が入力にも出力にも解釈できるため変数選択に客観的な基準を設けられていなかったことなどの問題が指摘された。そこで、分析に用いる変数の選抜方法とDEAの分析枠組みを大幅に見直した。再分析の結果、フロンティアにある村は昨年の結果と変わったが、より現実的な提案が行えるようになっていた。次年度は、DEAの計算方法による違い(感度分析)を行い、分析結果の安定性を検討したい。
次に、農家レベルでの気候変動の影響と被害からの回復速度、および、予防的行動の違いを把握するために農家調査を企画し、実施した。気候変動に対する取り組みが自治体により異なることから生じる影響を除去するため、調査対象は、昨年度訪問した県の中からひとつの県を選定することとした。そして、昨年度の調査に基づいて、県内に気象災害に対し脆弱な地域とそうではない地域の双方が存在し、公的な対策も進みつつあるTalrac県を調査対象地に選定した。更に、Talrac県下の行政区を被害の多寡で2区分し、ランダムに計8地区を選び、受け入れ可能であった世帯に対して面接方式での調査を行った。調査は2グループ体制で行い、120世帯の農家から回答を得ることができた。予備的な分析によれば、被害程度に地域差があるが被害差のすべてを説明するものではないこと、教育年数や警告表示の設置といったことが復旧日数の長短に影響しうることなどが、現時点で分かっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度の分析を見直した結果、分析方法と用いる変数の再検討が必要であることが判明した。また、フィリピンでの農家調査では、事前調整とデータ入力に想定以上の時間がかかってしまった。従って、分析については予備的な結果は得られているものの、更なる検討が必要な状況にあると考えている。以上のことから、データ収集については計画通りの進捗であるものの、全体としては「やや遅れている」と判断した。

今後の研究の推進方策

まず、本年度未完了だったDEA分析を完了させる。次に、本年度収集した農家データの分析を急ぎ、教育水準や情報伝達プロセス、地域住民の信頼度といった社会的要因の回復力への影響の有無を見極め、農家行動モデルの作成に必要な情報を整理する。当初計画では、追加の現地調査を次年度の早い時期に行うとしたが、本年度の農家調査で期待以上のデータ量が集まったことから、調査の必要性も含めて再検討したい。

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公開日: 2019-12-27  

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