補体因子はプリオン感染マウスの脳で感染初期から発現が増加するが、病態形成における補体因子の機能は不明であった。プリオン感染マウスモデルと初代培養系を用いた実験により、補体因子C1qはプリオン感染マウスの脳においてミクログリアから分泌され、神経細胞に対してp38 MAPKを介した細胞シグナリングを誘導することにより、細胞膜の透過性を亢進させ、PrPSc蓄積量を減少させることが示唆された。C1qはまた、STAT3経路を介してアストロサイトを活性化させることが示唆された。また、補体因子はプリオン感染初期から中期にかけて病態進行に影響を与えるが、臨床期以降は影響を与えないことが明らかとなった。
|