高齢患者への薬の投与は、成人という大きな括りの中で、添付文書記載の標準投与量で治療が行われている。しかし高齢患者において標準投与量は高用量になることが多く、特に分子標的抗がん剤の場合、投与開始2週間以内に重篤な副作用が出現し、治療中断に至るケースが散見される。今後、日本人の3人に1人が65歳以上になる高齢化社会を迎えるに当たって、高齢がん患者に適した治療法を再考する必要がある。本研究成果は、高齢者には低用量から投与を開始し、各分子標的抗がん剤の固有のターゲット血中濃度を指標に、投与量を段階的に増量することが必要であることを示している。
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