研究実績の概要 |
生殖細胞レベルのBRCA1/2変異は家族性膵癌の原因遺伝子の一つとして知られており、さらにBRCA1/2変異を有する症例では白金製剤の効果が期待されることが我々を含めた後ろ向きの観察研究で報告されている(Kondo T and Kanai M et al., OncoTarget 2018)。BRCA1/2に加えてATM, ATR, PALB2, RAD51などの遺伝子もDNA相同組み替え修復(HRR)関連遺伝子に分類され、これらの遺伝子に機能低下を伴う変異を有する膵癌症例では白金製剤であるオキサリプラチンの効果が期待できると考えられる。そこで8つのHRR関連遺伝子(ATM, ATR, BRCA1, BRCA2, PALB2, RAD51B, RAD51C, RAD51D)を網羅した遺伝子パネルを設計、このパネル用いて膵癌組織のゲノム解析をCLIA(Clinical Laboratory Improvement Amendments)認証を受けた検査室で行い、そこで得られたゲノム情報とオキサリプラチンレジメンを含む化学療法に対する治療効果について調査する「切除不能・再発膵がんを対象とした相同組み換え修復関連遺伝子変異を含む遺伝子検査を用いた前向きコホート研究」を計画、倫理委員会の承認を得て平成30年5月より登録を開始した。現在本学を含め4施設が参加、登録も順調に進んでいる。
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