研究実績の概要 |
生殖細胞レベルのBRCA1/2変異は家族性膵癌の原因遺伝子の一つとして知られているが、白金製剤に対する感受性を向上させる可能性があることが我々を含む複数の後ろ向き観察研究で報告されている。BRCA1/2のみならずDNA相同組み替え修復(HRR)関連遺伝子(ATM, ATR, BRCA1, BRCA2, PALB2, RAD51B, RAD51C, RAD51D)に分類される遺伝子変異を有する膵癌では、白金製剤であるオキサリプラチンの効果が期待できると推測される。そこでこれらのHRR関連遺伝子を網羅した遺伝子パネルを新たに設計、このパネル用いて膵癌組織のゲノム解析をCLIA(Clinical Laboratory Improvement Amendments)認証を受けた検査室で行い、そこで得られたゲノム情報と化学療法に対する治療効果について調査する「切除不能・再発膵がんを対象とした相同組み換え修復関連遺伝子変異を含む遺伝子検査を用いた前向きコホート研究」を計画、倫理委員会の承認を得て2018年5月より登録を開始した。本試験には本学を含め5施設が参加、2020年3月に目標の40症例の登録が完了し、1年間の観察期間を経て2021年3月に最終解析に着手する予定である。
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