研究課題/領域番号 |
17K08507
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
八月朔日 泰和 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (00372334)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ジアシルグリセロールキナーゼ / 免疫組織化学染色 / 特異抗体 / ゴルジ体 / 小胞体 / 虚血ストレス |
研究実績の概要 |
平成30年度はDGKアイソザイムの膵臓・副腎における発現および微細局在解析と、虚血ストレス条件下における発現および局在変化の解析をラットおよび野生型マウスを用いて行った。 1)DGKアイソザイムの膵臓・副腎における細胞内微細局在解析:膵臓では内分泌部であるランゲルハンス島において、DGKzetaが構成細胞の核内に発現すること、また副腎においてDGKアイソザイムが副腎皮質球状帯細胞と副腎髄質クロム親和性細胞に豊富に発現し、DGKepsionが細胞膜、DGKzetaは核内に局在することを申請者は報告した。本年度はさらに免疫組織化学染色法による解析を行い、副腎皮質球状帯細胞においてDGKgammaがゴルジ体に、DGKepsilonが小胞体にも局在することを明らかにした。膵臓ではRT-PCRにてDGKalpha-およびDGKepsilon-mRNA発現もわずかに認められたため特異抗体でタンパクの検出を試みたが、検出限界以下であった。 2)虚血ストレス条件下におけるDGKアイソザイム発現および局在変化の解析:申請者はDGKzetaが神経細胞では虚血により、膵臓ベータ細胞ではストレプトゾトシンによるDNA損傷ストレスにより、核から細胞質に移行することを報告している。虚血はグルコースと酸素欠乏により再現されるため、本年度は生体への虚血ストレス実験の予備実験として、ラット副腎褐色細胞腫由来の培養細胞であるPC-12に対して虚血ストレスを与え、DGKアイソザイムの発現量変化および局在変化の解析を行った。RT-PCRにてPC-12にはDGKalpha, DGKepsilon, DGKzetaおよびDGKiotaの発現が認められ、タンパクレベルでの解析のために特異抗体を用いて虚血ストレス実験を行ったが、発現量の変化や局在変化は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度の研究計画では、以下の目標を挙げた。 DGKアイソザイムの膵臓・副腎における発現および微細局在解析と、虚血ストレス条件下における発現および局在変化の解析をラットおよび野生型マウスを用いて行う。1)DGKアイソザイムの膵臓・副腎における細胞内微細局在解析:DGKアイソザイムの膵臓・副腎における発現および細胞内小器官微細局在の解析を行う。2)虚血ストレス条件下におけるDGKアイソザイム発現および局在変化の解析:膵臓および副腎について、虚血ストレス条件下におけるDGKや他のPI代謝関連分子の局在変化を検討する。 当該年度に関して申請者は副腎において、ゴルジ体や小胞体へのDGKアイソザイムの局在を新規に見出した。さらに副腎由来の培養細胞で、虚血ストレス条件下のDGKアイソザイムの発現および局在変化について解析した。以上より、当該課題の「研究の目的」に対する達成度は、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は以下の2点につき解析を行う。 1)DGKzeta-KO, DGKepsilon-KOマウスの神経細胞および膵臓・副腎の形態比較解析 ●神経細胞の解析(DGKepsilon-KOマウス):①ゴルジ鍍銀法による解析:DGKepsilon-KOマウス脳にゴルジ鍍銀法を施行し、小脳プルキンエ細胞の棘突起数や形態変化を解析する。②電子顕微鏡による解析:電子顕微鏡を用いて、DGKepsilon-KOマウスの細胞および細胞内小器官の形態変化を野生型マウスと比較検討する。 ●膵臓および副腎の形態比較解析(DGKepsilonおよびDGKzeta-KOマウス):電子顕微鏡を用いて、DGKepsilonおよびDGKzeta-KOの膵臓ランゲルハンス島構成細胞、副腎皮質球状帯細胞および副腎髄質クロム親和性細胞の細胞・細胞内小器官の形態変化を、野生型マウスと各々比較検討する。また、膵臓および副腎の生体における虚血ストレス実験を行う。 2)特異抗体を用いたDGKepsilonおよびDGKzetaのシグナル伝達複合体の解明 DGKepsilon特異抗体を使った免疫沈降法による結合タンパクの同定(マウス小脳)およびDGKzeta特異抗体を使った免疫沈降法による結合タンパクの同定(マウス膵臓・副腎)
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度の物品購入において少額の残金が生じた。
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