研究課題/領域番号 |
17K08522
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
小池 正人 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80347210)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | リソソーム / 小脳 / プルキンエ細胞 / カテプシン / オートファジー |
研究実績の概要 |
プルキンエ細胞特異的にカテプシンDおよびAtg7を欠損させたマウス(CTSDF/F; GluD2-CreおよびAtg7F/F; GluD2-Cre)は共にプルキンエ細胞の変性を来すが、前者では生後1ヶ月までにプルキンエ細胞がほとんど死滅するのに対して、後者ではほとんど死滅するまでに、2ヶ月要することが分かった。変性中の神経細胞はTUNELや活性化カスパーゼ-3陽性を示さず、電子顕微鏡的にも典型的なクロマチンの凝集像が見られず、カスパーゼ非依存的な細胞死により死に至ることが明らかとなった。また変性に伴うグリアの活性化はミクログリアは一時的なものであるのに対し、バーグマングリアの活性化は持続することが明らかとなった。両マウスでは、プルキンエ細胞の軸索の著明な変性を認め、軸索およびプレシナプスが腫大していた。しかし、その腫大の程度は、変性が相対的に緩やかな、Atg7欠損マウスの方が高いことから、軸索の変性そのものが、プルキンエ細胞の変性に積極的に関与する訳ではないことが示唆された。障害リソソームのマーカーと考えられる、オートファジーレセプターのp62やユビキチンの免疫染色では、カテプシンD欠損マウスの方がより強い顆粒状の染色像が認められた。電子顕微鏡像と考え合わせると、異常なリソソームの蓄積と相関することが示唆された。p62の陽性像は、カテプシンD欠損プルキンエ細胞の細胞体では観察されたが、軸索の腫大部では観察されなかった。そのような傾向は、Atg7欠損プルキンエ細胞においても同様であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プルキンエ細胞特異的にカテプシンDおよびAtg7を欠損させたマウスの比較解析について論文発表を行なった。
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今後の研究の推進方策 |
障害リソソームのオートファジーの免疫電子顕微鏡レベルでの解析を行うため、オートファジーのマーカーとして知られるLC3を検出するための手法の解析が必要である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた動物飼育料金が、移転に伴う動物数削減で予想より下回ったため。しかし、翌年度分として請求した助成金額と大きく変わらないため、予定通り使用する予定である。
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