研究課題
障害リソソームのオートファジーの免疫電子顕微鏡レベルでの解析を行うため、オートファジーのマーカーとして知られるLC3を検出するための手法の開発を試みた。GFP-LC3過剰発現HeLa細胞を用いて、すでに光顕レベルで内在性LC3の検出可能な市販抗体を複数種類用いて、凍結超薄切片を用いた免疫電子顕微鏡を行なったところ、過剰発現されたLC3を免疫電顕によって検出可能な抗体はわずか1種類のみであった。これを用いて、飢餓後バフィロマイシンA1処理を行なったU2OS細胞を用いて、内在性のLC3検出のための最適な条件を検討した。化学固定についての影響を、200nmの准凍結超薄切片を用いた蛍光抗体法により比較検討したところ、パラホルムアルデヒドのみの化学固定のほうが、パラホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド混合の固定液による化学固定より、強いシグナルを検出できた。そのため、さらなる免疫電顕の条件検討は、パラホルムアルデヒドのみの固定により実施した。その結果、4%パラホルムアルデヒドによる化学固定を、通常4度一晩行うところを、室温10分程度に止めること、抗体の反応や洗浄時間をできる限り短縮化することが、良好なシグナルを得るために重要であることがわかった。ただし、4%パラホルムアルデヒドで10分の固定のみでは良好な構造は得られず、それに引き続き0.6%パラホルムアルデヒドで4度数日後固定が必要であった。さらに、リソソームのソーティングに重要な役割を果たすゴルジ体に着目し、その酸性化に必須なGPHR(Golgi pH regulator)の小脳プルキンエ細胞特異的マウスを作出したところ、同マウスが小脳プルキンエ細胞特異的カテプシンD欠損マウスと同様、小脳変成を来すことが明らかとなった。
3: やや遅れている
今年度は、本学実験施設の移転のため、本研究遂行のために用いているマウスの系統を一旦受精卵にして、新施設開設後に復元を行なった。その間数ヶ月はマウスの利用の制限があったため、本年度はin vivoの研究がやや遅れたと考えている。
小脳プルキンエ細胞特異的GPHR欠損マウスにおいて、プルキンエ細胞の変成が認められたため、この過程を詳細に検討するとともに、同マウスのプルキンエ細胞におけるリソソームの機能低下の有無についても検討を行う。
動物実験施設の新施設移転のため、長期間動物飼育が制限され、その分飼育料金がかからなかったため。来年度動物飼育数を増やして、当該研究に対応するため、その飼育料金として使用する計画である。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 5件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
Human Molecular Genetics
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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