研究課題/領域番号 |
17K08610
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
岩本 隆宏 福岡大学, 医学部, 教授 (20300973)
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研究分担者 |
田頭 秀章 福岡大学, 医学部, 講師 (90735028)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | イオン輸送体 / 心不全 / 心肥大 / 病態モデル動物 |
研究実績の概要 |
本研究では、標的とするSLC輸送体分子が新規なCa2+輸送体であることを実験的に証明するとともに、標的SLC分子の各種遺伝子改変マウス(トランスジェニックマウス、ノックアウトマウス)を作製して、その生理学的役割および心疾患発症における病態学的意義を解明することを目的としている。これまでに、哺乳動物細胞発現系を用いて、標的SLC分子がCa2+輸送活性を有していることを実験的に証明した。また、標的SLC分子の心筋特異的高発現マウスを作製したところ、心肥大形成および心機能低下が認められ、早期に突然死することを観察した。この病態機序を解明するために、単離・培養心筋細胞を調製して、心筋細胞内Ca2+トランジェントを解析中であり、現在得られている結果では、異常なCa2+トランジェントが観察されている。さらに、標的SLC分子の遺伝子欠損マウスの心機能および単離・培養心筋細胞のCa2+トランジェントを解析中である。今後、細胞内局所のCa2+動態をさらに詳細に解析し、標的SLC分子の生理学的・病態学的役割を追究したいと考えている。その実験系の確立として、単離・培養心筋細胞の細胞質・筋小胞体・ミトコンドリアの局所Ca2+濃度変化を捉える蛍光イメージング解析法および標的SLC分子のCa2+輸送活性をイオン電流として捉える電気生理学的解析法の基礎的検討を実施した。これらの解析法を用いて、今後の研究計画をさらに発展的に推進する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度までの研究計画に従って、標的SLC分子の哺乳動物細胞発現系を用いて、Ca2+輸送特性を解析した。また、標的SLC分子の各種遺伝子改変マウス(特に、心筋特異的高発現マウス)を用いて、標的SLC分子と心肥大・心不全の病態機序の関係をin vivo解析およびin vitro解析(単離・培養心筋細胞)した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画に従って、標的SLC分子の各種遺伝子改変マウス(特に、遺伝子欠損マウス)を用いて、標的SLC分子と心肥大・心不全の病態機序の関係をin vivo解析およびin vitro解析により詳細に追究していく。今後の新規研究項目として、標的SLC分子に対する創薬リード化合物(阻害薬)の探索を実施する。具体的には、標的SLC分子の哺乳動物細胞発現系を用いて、低分子化合物ライブラリー(LOPAC)の阻害活性スクリーニングを実施する。得られた候補化合物については、標的SLC分子の心筋特異的高発現マウスの心肥大・心不全形成に対する治療効果を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究に必要な物品費(設備・消耗品)等で経費を使用したが、手持ちの試薬等で実験が賄えたことから、試薬等の追加購入が予定よりも少なくなり、次年度使用額が生じた。今後(本年度)、それら試薬等の追加購入が必要であり、次年度使用額は今後使用予定である。
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