研究課題
本研究は,質量分析法を用いてアミロイドの前駆蛋白質を定量的に測定し,複数の前駆蛋白を有するアミロイドーシス症例を見出すものである.まず,当院で経験したアミロイド症例をランダムに定性的に質量分析し,定量に適したペプチド断片の選び出しを行った.各アミロイド原因蛋白質において,データベース(UniProt)に登録されている変異部位を確認し,この部位を極力避けるように,また,質量分析器で検出されやすい部位を選び,ひな型となるペプチド断片を決定した.同定に使用するペプチド断片は各アミロイド原因蛋白質について複数(4個以上)のペプチド断片を定量に使用する.さらに,これらのペプチド断片の同位体ペプチドを合成した.次に1999年から2016年に行われた剖検症例のうち,アミロイドーシス症例,30症例の病理組織学的評価を行い,アミロイドの沈着部位と沈着の程度についてまとめ,免疫組織化学的検討を行った.免疫組織化学的検討については,まだ,すべて終了していないが,通常の病理診断業務に用いていない抗体も新たに購入し条件検討を行った.さらに,各症例に沈着するアミロイドをレーザーマイクロダイセクションを用いて回収し,トリプシン消化後,質量分析器にて先に合成した同位体ペプチドを用いた定量を行っている.現在はこの定量結果を待ち,データ解析を行う予定であり,免疫組織学的検討の結果と合わせて評価していく予定である.また,イメージング質量分析法の条件検討も開始している.
2: おおむね順調に進展している
研究が遅延する事象が生じなかったため.
剖検30症例のアミロイド前駆蛋白質について,免疫組織化学的検討に加えて,質量分析法を用いた結果を加えて,評価していく.また,イメージング質量分析法を行うための条件検討を開始する予定である.
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件)
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