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2017 年度 実施状況報告書

神経膠腫におけるfibulin-7の機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 17K08770
研究機関順天堂大学

研究代表者

デベガ スサーナ  順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (30623590)

研究分担者 岡田 保典  順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員教授 (00115221)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード神経膠腫 / 細胞外マトリックス / フィビュリン-7 / 組織内微小環境 / 異常血管形成 / 血管内皮細胞 / 周皮細胞
研究実績の概要

神経膠腫(グリオーマ)は、高度な浸潤能と過剰な血管新生を伴う悪性腫瘍であり、その進行過程で既存の細胞外マトリックス(ECM)の分解とともに新規ECM分子の産生を伴っており、ECM分子の代謝(分解と合成)によって創出された特異な組織内微小環境が悪性化に深く関わっている。本研究では、ECM分子であるフィビュリン-7(Fibulin-7 = Fbln7)に着目し、神経膠腫での発現と機能解析を進めている。Brain Tumor Tissue Arraysとヒトグリオーマ組織を用いてFbln7の発現を解析したところ、Fbln7は腫瘍の悪性化とともに発現が増加し、膠芽腫(GBM)で最も高く発現していた。免疫組織染色により、GBM組織での異常血管構成細胞(血管内皮細胞と周皮細胞)がFbln7を強く発現することを証明した。また、培養血管内皮細胞では、VEGF刺激により Fbln7は発現亢進を示した。Angiopoietin(Ang1とAng2)はチロシンキナーゼ型受容体(Tie2)との結合で拮抗的に働き、Ang1-Tie2とAng2-Tie2シグナルは血管の安定化・成熟と内皮細胞の発芽にそれぞれ作用することが知られいることから、これらの分子とFbln7との相互作用を検討した。その結果、Fbln7はAng2とTie2とは相互作用を示さず、Fbln7のN末端ドメインを介してAng1と特異的に結合することが明らかとなった。これらのデータは、GBMで高発現するFbln7は、Ang1/Ang2-Tie2系の調節を介してGBM組織における異常血管形成に関わる可能性を示唆しており、細胞レベルでのFbln7-Ang1 / Ang2複合体の作用を評価するために、血管内皮細胞と血管周皮細胞を用いた新規co-culture系を開発した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成29年の研究のprogressは、Ang1は未知のECMと結合することが報告されているが、我々は 結合解析実験でFbln7はAng1と特異的に結合することを証明した。このことは、GBMで高発現するFbln7がAng1-Tie2系シグナルを変動させて、GBMの異常血管形成に関わる可能性を示唆している。本仮説を実証するために、血管内皮細胞と血管周皮細胞を用いた新規のco-culture系を開発した。本培養系では、高濃度(500 nanogram/ml)のVEGF刺激をすることで、GBMに類似した異常血管構造の再現に成功しており、Fbln7の発現レベル、Fbln7のドメイン特異的抗体やペプチドの添加実験により、Fbln7の異常血管形成との関係を解析する予定である。

今後の研究の推進方策

GBMでの異常血管形成におけるFbln7の作用を調べるために、我々が開発してきた血管内皮細胞と血管周皮細胞を用いた新規co-culture系でのFbln7の分子作用機構をさらに解析する。より具体的には、以下の3点である。
(1)ヒト血管内皮細胞でsiRNAを用いてFbln7遺伝子発現をノックダウンして、血管形成能を解析する。
(2) Fbln7のドメイン特異的な特異抗体を添加して、異常血管形成対するFbln7の作用ドメインを同定する。
(3) Fbln7の各ドメインのアミノ酸配列を網羅する合成ペプチドを用いて、異常血管形成に及ぼす影響を調べ、Fbln7の活性部位の同定を試みる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Cell adhesion protein fibulin-7 and its C-terminal fragment negatively regulate monocyte and macrophage migration and functions in vitro and in vivo.2018

    • 著者名/発表者名
      Sarangi PP, Chakraborty P, Dash SP, Ikeuchi T, de Vega S, Ambatipudi K, Wahl L, Yamada Y.
    • 雑誌名

      FASEB J

      巻: In press ページ: 0000

    • DOI

      10.1096/fj.201700686RRR

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Epiprofin Regulates Enamel Formation and Tooth Morphogenesis by Controlling Epithelial-Mesenchymal Interactions During Tooth Development.2017

    • 著者名/発表者名
      Nakamura T, Jimenez-Rojo L, Koyama E, Pacifici M, de Vega S, Iwamoto M, Fukumoto S, Unda F, Yamada Y.
    • 雑誌名

      J Bone Miner Res

      巻: 32(3) ページ: 601-610

    • DOI

      10.1002/jbmr.3024

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Analysis of the expression and prospective role of Fibulin-7 in aberrant blood vessel formation in glioblastoma2017

    • 著者名/発表者名
      Susana de Vega, Akihide Kondo, Mario Suzuki, Eri Arikawa-Hirasawa and Yasunori Okada
    • 学会等名
      第49回日本結合組織学会学術大会抄録

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公開日: 2018-12-17  

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