研究課題/領域番号 |
17K08936
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医療社会学
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
江本 直也 日本医科大学, 医学部, 教授 (50160388)
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研究分担者 |
小谷野 肇 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80291897)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 行動経済学 / リテラシー / socioeconomic status / 糖尿病 / 網膜症 / 学歴 |
研究成果の概要 |
危険回避度は糖尿病合併症進行の重要な要因である。リテラシー能力(読み書き理解力)が低く確率の概念を理解できない患者は危険愛好的な行動をとるかも知れない。糖尿病患者で高学歴であれば高いリテラシー能力を持ち、危険回避的な行動をとり、合併症が少なくなる可能性がある。そこで糖尿病患者に行動経済学的質問調査を行なった。結果は学歴の高い患者ほど合理的な答えを出すが、網膜症を合併している患者では、学歴の効果が消失していた。学歴は患者の幼少時の社会経済状況の結果と考えられる。リテラシー能力の低さは患者の社会経済状況にかかわらず糖尿病合併症の独立した危険因子である。それが合併症の原因か結果かは不明である。
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自由記述の分野 |
医学内分泌代謝学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
糖尿病の治療では自覚症状がない段階から自分の未来の健康を害する要因を正しく理解して危険を回避する行動が重要である。それには与えられた情報を正しく理解する認知機能が必要である。一般に学歴が高いほど認知機能は高い。しかし、糖尿病で網膜症が進行している患者に限っては学歴と認知機能の相関が消失していた。糖尿病で合併症が進行する患者では、何らかの理由で認知機能が落ちている可能性があるが、それは必ずしも先天的に認知機能が低いことを意味しない。学歴や職業にかかわらず認知機能の低下が糖尿病合併症進行の危険因子であることを念頭に治療介入戦略を立案することによって、糖尿病合併症進行を抑制できると考えられる。
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