本年度は、生体吸収性チューブ内に脂肪幹細胞の細胞シートを封入したモデルについての研究結果をまとめ、英文論文を投稿中です。本研究では、①生体吸収性チューブ内に細胞シートを封入したモデルの成績は自家神経移植には及ばなかったものの、ADSCやシュワン細胞類似細胞を封入した群よりも良好であったこと、②再生組織内にはVEGFやNeuregulin-1の遺伝子発現が増加していたこと、が判明しました。従って、細胞シートは神経栄養因子の放出やシュワン細胞の誘導といった機序により神経の再生を促進したと考えられました。 脱細胞化処理を行い作成した同種処理神経に脂肪幹細胞の細胞シートを付加したモデルについては、平成30年度以降、国内外の学会で多数の報告を行いました。また、末梢神経に関する日本最大の学会である日本末梢神経学会のシンポジウムにて本研究に関する発表を行いました。本研究については和文論文が既に掲載されており、英文論文を投稿中です。 本研究では、①同種処理神経に細胞シートを付加したモデルの成績は、自家神経移植に肉薄していたものの及ばなかったこと、②S-100染色やneurofilament染色の結果においては、同種処理神経単独に比べ同種処理神経+細胞シート群の成績が優れていたこと、が判明しました。
進捗状況に関する理由 研究助成を頂き、細胞シートによる神経再生促進効果について十分な結果が得られました。また、今後日本での基礎研究や臨床応用が進むことが確実視されている同種処理神経に対する細胞シートの応用について検討することができました。さらに、同種処理神経に対する細胞シートの効果について評価することができました。
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