食道扁平上皮癌患者10名、健常コントロール10名から唾液を採取し、唾液中の細菌叢解析を行った。主な属レベルで比較では、コントロールに比較して食道癌患者において、Veillonella、Neisseriaが低い傾向であった。Neisseriaは、アセトアルデヒド産生能が高い代表的な細菌であることが知られている。飲酒後のアセトアルデヒド暴露が、食道癌の要因の一つ考えられていることから、今回の食道癌患者でNeisseriaの検出割合が少ない結果は、予想外であった。このことから、口腔内細菌叢と癌との関連を明らかにするには、多くの症例から唾液サンプルを採取し、細菌叢全体での更なる解析が必要と考えられた。
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