左室収縮機能の維持された心不全の治療薬探索に関する多施設共同登録・観察研究は、心不全入院患者を退院時の左室駆出率(LVEF)で層別化し、LVEF 40%-60%、60%以上の2群に分けて観察したとき、β遮断薬やRAS系阻害薬などの心筋保護薬の効果に2群間で差があるか否かを検証する研究である。イベント(総死亡+心不全悪化による入院)発生率は、登録患者の LVEFの範囲内において、LVEFが高値になるほど有意に高値であった。RAS系阻害薬はLVEFの値にかかわらずイベントの発生率を有意に抑制した。すなわち、エンドポイントに対し、左室駆出率とRAS系阻害薬の投与には交互作用なし。仮説は否定された。
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