研究課題/領域番号 |
17K09534
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
星賀 正明 大阪医科大学, 医学部, 教授 (90309154)
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研究分担者 |
石坂 信和 大阪医科大学, 医学部, 教授 (20270879)
鈴木 哲 関西大学, システム理工学部, 准教授 (50306502)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 心不全 / 拡張能 / 医工連携 |
研究実績の概要 |
マイクロ波レーダー装置を用いることで、非接触での頸静脈波形の観察が可能であるか、またその観察が循環器診療において臨床応用が可能かの検証を行った。循環シミュレーターおよび健常者に対する頸静脈波形の観察および記録は、従来から用いられる接触型のオシレータを用いた波形とほぼ同様の波形を取得できた。被検者の体位変換による変化においてもマイクロ波レーダー法は、オシレータと同等でリアルタイムの表示、記録が可能であった。これらの結果は、現在英語論文化し、雑誌投稿中である。 一方、頸静脈波形は右心房圧波形を反映することで生体信号としての価値を持っている。右心房圧は、カテーテルを右心房内に挿入することで直接に記録されるが、侵襲性が高い。右心房圧の臨床的意義であるが、従来から心不全において「うっ血」の評価に用いられてきた。しかし、圧波形のコンポーネントを細かく観察することで右心室の拡張能などの右心機能の評価が可能となる。特に収縮期と拡張期の圧下降の観察の有用性を、当施設の心不全患者を対象とした臨床研究で検証した。右心室の拡張障害を示す圧波形パターン(y谷がx谷より深い)を示す患者は、拡張障害のない患者に比較して、その後1-2年の観察で再入院が有意に多い事を見出した。 マイクロ波レーダー法による頸静脈波形記録において、上記のようなy谷とx谷の深さを観察することが可能である。現在心不全をはじめとする循環器疾患治療の患者において本法を用いた頸静脈波形の観察記録を繰り返し、装置の改良を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マイクロ波レーダーの装置の改良については、マイクロ波発信装置およびレーダーセンサーと観察部位である皮膚表面との距離を数度に渡って検討を繰り返した。得られる信号の質(S/N比)のみならず、心電図波形と比較して時相のずれを最小限にするように改良を必要としたため、計画に遅れを生じた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、マイクロ波レーダー装置の頸静脈波形記録が被接触で可能である検証を繰り返し、英語論文投稿まで進捗した。また、頸静脈波形観察の臨床的意義の検証を、リファレンスである右心房圧波形パターンが、心不全患者において予後予測に有用である事を臨床研究で示すことができた。 次年度は、マイクロ波レーダー装置での頸静脈波形記録をあらゆる循環器疾患に行い、装置の改良および臨床上の有用性のエビデンスの創出をめざし、学会および論文発表を目指したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の遅れに伴い、研究費の執行も遅れが生じた。本研究には、データの保守管理の補助目的で研究補助員を研究協力者として契約している。次年度もデータ管理が必要であり、引き続き謝金(年間約300千円)を拠出する計画である。また、成果発表の目的で、次年度に国内および海外の学会報告、英語論文(英文校正および投稿費)に使用する予定である。
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