研究課題/領域番号 |
17K09585
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
西山 崇比古 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (20464844)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 環状RNA / 心筋分化 |
研究実績の概要 |
本研究では、非コーディングRNAでもまだ機能が十分に解明されていない 環状RNAに着目している。かつては意味のない配列と考えられていた非コーディングRNAであるが、今までは転写制御に関する重要な機能を持つことがわかってきている。今までにも。心臓発生では心筋特異的microRNA配列の解析が進んでおり、心臓で高発現するmicroRNAの特異的欠損マウスでは、心臓に重大な欠陥を呈することがわかってきている。また、ES細胞を用いた研究でも、心筋分化をmicroRNAが効率上昇に寄与することがわかってきている。心筋特異的な環状RNAの作用機序に関する具体的な報告は少なく、クロマチン修飾によってエピジェネティックな転写制御を心臓発生、心筋分化過程で解明することを目標としている。心筋分化誘導の最終的な応用は再生医学という実臨床へ結び付けることを目的としている。現在、iPS細胞の心筋分化誘導が確立され、より効果的な心筋分化誘導を開発することが将来の心筋再生医療への大きな発展となる。環状RNAは、直鎖状RNAとは異なり、共有的に閉じた連続ループを形成し、真核生物のトランスクリプトームにおいて高度に表される新規な種類のRNAである。最近の研究により、哺乳動物細胞中に数千の内在性circRNAが発見された。 CircRNAはエクソンまたはイントロン配列から大部分生成され、そして逆相補配列またはRNA結合タンパク質(RBP)がcircRNA生合成には必要である。 circRNAの大部分は種を超えて保存されており、RNase Rに対して安定で耐性があり、そしてしばしば組織/発生段階特異的な発現を示します。最近の研究では、circRNAがmicroRNA(miRNA)スポンジ、スプライシングと転写の調節因子、そして親遺伝子発現の修飾因子として機能できることが明らかにされている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
心臓発生と心筋分化誘導下において必要な環状RNAを同定するためにマウス胎児、出生後、成獣からRNAを抽出した。また、ES細胞から心筋分化誘導し作成した心筋細胞と未分化状態のES細胞からRNAを抽出した。これらの、サンプルより心筋特異的な環状 RNAを特定することができた。CRISPR-Caspシステムを用いて、特定の遺伝子領域の欠失を目指しているが、まだ変異細胞株を得られていない。また、免疫クロマチン沈降を施行し、心筋特異的な環状 RNAと関連するヒストン修飾因子の同定をおこなっているが、現在明らかなに分化誘導に関する因子の特定に至っていないために予定よりも遅れを認めている。
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今後の研究の推進方策 |
同定した心筋特異的環状RNAに対する特異的抗体を用いて、転写因子や結合タンパク質の同定、DNAとの相互作用やヒストン修飾のゲノム上での局在を同定する。心臓発生における作用を調べるために、ES細胞やマウス心臓、ips細胞からのサンプルを用いる予定である。ヒストンの翻訳後修飾は様々な細胞機能制御に重要な役割を果たすことがわかっているが、遺伝子の発現やクロマチン構造の制御には特にヒストンH3の9番のメチル化が注目されている。遺伝子の発現制御やゲノムの安定性関わるヘテロクロマチンの維持に重要であるメチル化酵素、脱メチル化酵素、複合タンパク質との相互作用に重点をおいて解析する。免疫クロマチン沈降のみでは修飾因子の同定が困難である場合には次世代シークエンサーを用いてより詳細な解析を加える。
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次年度使用額が生じた理由 |
CRISPR-Caspシステムを用いて、特定の遺伝子領域の欠失を目指しているが、まだ変異細胞株を得られていない。また、免疫クロマチン沈降を施行し、心筋特異的な環状 RNAと関連するヒストン修飾因子の同定をおこなっているが、現在明らかなに分化誘導に関する因子の特定に至っていないために使用予定額を次年度に持ち越した。更に、同定した心筋特異的環状RNAに対する特異的抗体を用いて、転写因子や結合タンパク質の同定、DNAとの相互作用やヒストン修飾のゲノム上での局在を同定するために使用予定。遺伝子の発現やクロマチン構造の制御には特にヒストンH3の9番のメチル化が注目されている。遺伝子の発現制御やゲノムの安定性関わるヘテロクロマチンの維持に重要であるメチル化酵素、脱メチル化酵素、複合タンパク質との相互作用に重点をおいて解析する。免疫クロマチン沈降のみでは修飾因子の同定が困難である場合には次世代シークエンサーを用いてより詳細な解析を加える
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